饒漢祥

饒漢祥（ぎょう かんしょう）

饒漢祥は、1884年に生まれ、1927年6月17日に44歳で亡くなった、清末から民初にかけての政治家です。字は宓僧（ふくそう）、別号として珀玕（はくかん）を名乗りました。

生涯

1903年（光緒29年）に科挙に合格し、挙人の地位を得ました。その後、日本に留学し、法政大学を卒業して法学の知識を深めました。帰国後、1911年（宣統3年）に武昌起義（辛亥革命）が勃発すると、革命軍に参加し、武昌都督府で書記として活動しました。その能力を認められ、都督の黎元洪に抜擢され、秘書や秘書長といった要職を歴任しました。

中華民国が成立した1912年（民国元年）には、湖北省内務司司長に任命され、翌年には湖北省民政長署理も務めました。1914年（民国3年）には、副総統となった黎元洪の秘書長として、政治の中枢で活躍しました。同年には参政院参政にも選ばれ、重要な政治決定にも関与しました。

1916年（民国5年）に黎元洪が大総統に昇進すると、饒漢祥は一度政界を退き、天津に隠居しました。しかし、1922年（民国11年）に黎元洪が再び大総統に返り咲くと、饒漢祥は呼び戻され、総統府秘書長兼僑務局総裁に就任しました。しかし、黎元洪が翌年大総統を辞任すると、再び天津に隠居しました。

1925年（民国14年）には、奉天派の郭松齢に招聘され、秘書長として反張作霖クーデターに参加しました。しかし、クーデターは失敗に終わり、郭松齢が敗死すると、張作霖の後継者である張学良から指名手配を受けることになりました。

1927年（民国16年）6月17日、波乱に満ちた生涯を終えました。享年44歳でした。

人物

饒漢祥は、清末から民初にかけての激動の時代において、政治家として重要な役割を果たしました。日本留学で得た知識と、辛亥革命で培われた経験を生かし、黎元洪を支え、その政権の中枢で活躍しました。しかし、政局の変化に翻弄され、晩年は不遇な日々を送りました。短くも波乱に満ちた生涯は、当時の中国の混乱を象徴していると言えるでしょう。

参考文献

徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。
劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。ISBN 7-101-01320-1。

もう一度検索