首席枢機卿

首席枢機卿とは

首席枢機卿（しゅせきすうききょう、羅: Decanus Sacri Collegii、英: Dean of the College of Cardinals）は、ローマ教皇庁における重要な役職であり、カトリック教会の高位聖職者である枢機卿団の議長を務めます。枢機卿団は、教皇を選出するコンクラーヴェにおいて中心的な役割を担う組織であり、その議長である首席枢機卿は、教会法においても特別な地位を与えられています。

首席枢機卿の権限と役割

教会法352条2項には、首席枢機卿は枢機卿団の議長ではあるものの、他の枢機卿に対して支配権を持つわけではなく、「同等者間の首席」に過ぎないと明記されています。つまり、首席枢機卿はあくまで枢機卿団の代表としての役割を担い、他の枢機卿と同等の権限を有しています。

首席枢機卿の最も重要な役割の一つは、コンクラーヴェにおける議長としての職務です。教皇が崩御または退位した場合、枢機卿団はコンクラーヴェを招集し、新しい教皇を選出します。首席枢機卿は、このコンクラーヴェを主宰し、選挙の手続きを円滑に進める責任を負います。ただし、首席枢機卿自身が教皇の選挙権を持たない場合（80歳以上の高齢である場合など）、次席の枢機卿が議長を務めることになります。

首席枢機卿の選出方法

首席枢機卿は、枢機卿団の互選によって選出され、ローマ教皇の承認を受けることになっています。この選出手続きは、枢機卿団の自治を尊重するものであり、教皇による任命とは異なります。選出された首席枢機卿は、教会法350条4項に基づき、既に有している名義称号に加えて、オスティア教区の名義司教となります。

近年の首席枢機卿

2005年から2019年まで首席枢機卿を務めたアンジェロ・ソダーノ枢機卿は、カトリック教会の性的虐待事件への関与が指摘され、辞任しました。その後、2020年からはジョバンニ・バッティスタ・レ枢機卿が首席枢機卿の地位にあります。

まとめ

首席枢機卿は、枢機卿団の議長として、またコンクラーヴェの議長として、カトリック教会において重要な役割を担っています。その権限は限定的であるものの、枢機卿団の代表として、教会の運営に貢献しています。歴代の首席枢機卿は、カトリック教会の歴史において重要な足跡を残しており、その役割は今後も注目されていくでしょう。

外部リンク

カトリック教会法典（英文）
カトリック教会法典（羅文）

もう一度検索