香

香とは

香（こう、英: incense）は、元々は伽羅、沈香、白檀などの天然の香木の香りを指します。そこから派生して、線香や焼香、抹香、塗香といった様々な形式があります。これらは総じてお香、または御香とも呼ばれます。

歴史

香の歴史は遥か古代に遡ります。古代オリエントの世界では、乳香や没薬などが重宝されていました。メソポタミア文明においては、紀元前3000年頃からシダーの香木が尊ばれ、古代エジプトではキフィという調合香が重要な商材とされていました。香の知識はインドを通じて中国や日本にも広がりました。また、北アメリカの先住民たちは、セージやジュニパーなどの植物を使い、虫除けや癒しのための香の伝統を育んできました。

原料

香の原料は多岐にわたります。白檀や丁香など樹木の皮、葉、根の粉末に加え、乳香や安息香などの香樹脂、さらには麝香や竜涎香のような動物性の香料が含まれます。一般的に、香木（明香）と練香（煉香、合香）の2種類に分けられます。

使用方法

香の使用方法は大きく二つに分かれます。焚いて使う香（焼香）と、肌に塗る香（塗香）です。具体的な使用方法には以下のものがあります：

• - 線香：棒状や渦巻状で、主に南アジアから東アジアで使われる。竹などの芯に香を塗りつけたものや、香自身を形作ったものがあります。
• - コーン型：香をコーン状に成形し、陶器製の皿に焚いて使用します。近年、人気が高まっています。
• - 香炉：粉末状の抹香を炭火で燃焼させる方法で、比較的長い時間香を楽しむことができます。
• - アロマランプ：芳香植物や樹脂を耐熱性の皿に乗せ、蝋燭で温めて香りを引き出します。
• - 蚊遣り火：イネ科の植物と芳香植物を束にし、火をつけてゆっくり燃やす方法で、インディアンの伝統です。

効果

香を焚くことで、脳内でアルファ波やエンドルフィンといった物質が分泌され、心地良いリラックス効果をもたらします。

宗教における使用

香は多くの宗教やスピリチュアリティで重要な役割を果たしています。仏教では、香を焚くことによって心を清浄にし、不浄を払い、仏前に供えることが基本とされています。また、仏教において香木は仏像や仏具の材料としても利用されています。キリスト教では、正教会の儀式で振り香炉を用い香が使用されます。

危険性

しかし、お香の煙には一酸化炭素、ホルムアルデヒド、酸化窒素などの有害物質が含まれており、目や鼻、喉、皮膚に刺激を与える可能性があります。また、呼吸器疾患や頭痛、心血管疾患との関連も指摘されています。特にバンコクではお香が大気汚染の要因の一つとなっており、当局が自粛を呼びかけています。

香はその独自の文化と歴史を持ち、心と体に良い影響を与える一方で、健康への影響を考慮することも必要です。香に関する知識を深め、生かし方を工夫することが求められています。

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