香良洲駅

香良洲駅の概要

香良洲駅（からすえき）は、かつて三重県津市にあった伊勢電気鉄道の駅で、現在は廃駅となっています。1929年に伊勢電気鉄道の本線、現在の近畿日本鉄道（近鉄）伊勢線が開業する際に設けられたこの駅は、実業家の熊沢一衛が推進した拡大政策の一環として誕生しました。駅の設置は、東部にある雲出川デルタ地帯の香良洲町（2006年に津市と統合）へのアクセス向上を目指したものでした。

駅自体は、旧津市の田園地帯に位置し、香良洲町の繁華街からは少し離れたところに位置していました。このため、駅自体は利便性が高いとは言えませんでしたが、当時は島式ホーム2面4線を備える広い構内を有していました。さらに、駅前からは香良洲町行きのバスも出ていたとされています。また、香良洲には美しい海水浴場があり、夏には多くの観光客が訪れ、ここで乗降したことも記録されています。

駅の発展と変遷

参宮急行電鉄との合併が行われ、伊勢線の単線化が進むと、香良洲駅の利用状況は変化しました。片方のホームが使用されなくなると、電車同士のすれ違いのためだけの駅になってしまいました。さらに、太平洋戦争が始まると近くに三重海軍航空隊基地が設けられ、その影響で軍関係者の利用も見られました。

1961年には伊勢線が廃止され、香良洲駅もその役目を終えることとなりました。廃駅となる直前には、駅前に郵便ポストや電話ボックスが設置されており、多くの人々がこの場所を利用していました。

沿革

• - 1930年4月1日: 津新地 - 新松阪間の開業により香良洲駅が開設される
• - 1936年9月15日: 伊勢電気鉄道が参宮急行電鉄に合併
• - 1938年4月2日: 列車交換駅として単線化が進む
• - 1941年3月15日: 大阪電気軌道と参宮急行電鉄が合併し、関西急行鉄道となる
• - 1944年6月1日: 関西急行鉄道が南海鉄道に合併され、近畿日本鉄道が誕生
• - 1961年1月22日: 香良洲駅が廃止される

残された証跡

近鉄伊勢線は香良洲駅の南側で雲出川を横断していますが、その手前には荒廃した築堤や架道橋などの残骸が残っています。橋脚も水道橋として一部で使用されているなど、当駅の存在やその時代の風景を物語る貴重な証拠となっています。これらの歴史的な遺構を通じて、かつてこの地に存在した香良洲駅の面影を感じることができるでしょう。

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