香雪美術館

香雪美術館：東洋古美術の宝庫と歴史ある邸宅

兵庫県神戸市東灘区に佇む香雪美術館は、東洋古美術を専門とする美術館です。朝日新聞社の創設者であり、自らも茶人として知られた村山龍平氏の膨大なコレクションを基盤として、1973年に開館しました。村山氏の雅号「香雪」から館名が名付けられています。

村山龍平と美術への情熱

三重県出身の村山龍平氏は、上野理一氏と共に朝日新聞の創設に携わった人物です。美術雑誌『国華』の経営難を救済する過程で古美術への関心を深め、刀剣武具から始まり、仏教美術、茶道具へと収集の範囲を広げていきました。そのコレクションは、日本や中国の絵画、彫刻、工芸品など多岐に渡り、現在では重要文化財19点、重要美術品23点を含む400点以上を数えます。さらに、村山家から約1600点の作品が寄託されており、その規模は東洋古美術の研究においても極めて重要な位置を占めています。

美術館の変遷と分館

香雪美術館は、2010年に公益財団法人へと改組され、現在もその活動を続けています。運営母体は朝日新聞社と深い関係にあり、現在も大株主として名を連ねています。

2021年末より、美術館本館は改修工事のため長期休館中です。しかし、その間も所蔵品の鑑賞を可能とするため、大阪市北区の中之島フェスティバルタワー・ウエストに、分館である中之島香雪美術館を開設。貴重なコレクションは、そこで継続的に公開されています。

貴重な文化財の数々

香雪美術館の所蔵品は、その質・量ともに高く評価されており、数々の重要文化財が収蔵されています。

重要文化財（美術工芸品）には、聖徳太子像や稚児大師像などの日本絵画、梁楷筆の布袋図といった中国絵画、さらに志野山水文矢筈口水指、銘のある太刀など、多様な工芸品が含まれています。書跡・古文書においても、大慧宗杲の墨蹟や藤原俊成の自筆書状など、歴史的に貴重な資料を所蔵しています。

重要文化財（建造物）として、旧村山邸の建物6棟と土地が登録されています。明治末期から大正期にかけて建てられた洋館、書院、茶室など、各棟が渡廊下で繋がれた広大な敷地は、当時の大規模邸宅の様式を伝える貴重な建築群です。特に茶室棟には、藪内家燕庵を写した「玄庵」と「香雪」という二つの茶室があり、茶道文化に関しても深い歴史を感じさせます。

アクセスと周辺情報

香雪美術館は、阪急神戸線御影駅から徒歩5分、JR神戸線・神戸新交通六甲ライナー住吉駅から徒歩10分の場所に位置しています。周辺には白鶴[[美術館]]、世良[[美術館]]、豊雲記念館、谷崎潤一郎旧居など、文化施設が点在しており、一日かけての文化体験も可能です。

まとめ

香雪美術館は、貴重な東洋古美術コレクションと、歴史的建造物を有する、神戸を代表する文化施設です。改修工事中ではありますが、分館での展示や、その歴史的背景、周辺環境を含め、訪れる価値のある場所と言えるでしょう。

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