馬場康雄

馬場康雄の業績と経歴

馬場康雄（ばば やすお、1948年 - ）は、日本を代表する政治学者で、主に欧州政治史、特にイタリアの政治史と比較政治学に関する研究で知られています。1948年に東京都で生まれ、東京大学法学部を1971年に卒業した後、同大学の大学院法学政治学研究科で修士課程を修了しました。1974年には東京大学社会科学研究所に助手として勤務し、そこから延べ38年間にわたって東京大学に在籍し続けました。

1980年に助教授、1985年には法学部助教授、1988年に教授に昇進し、2012年に退職するまで、数多くの学生を指導しました。彼の学問的な貢献は、その専門性において高く評価されています。

主な著書と研究

馬場氏の著作には、共編書が多数含まれ、特に「戦後デモクラシーの成立」、「戦後デモクラシーの安定」、「戦後デモクラシーの変容」といった作品は、戦後日本の政治的な変遷に関する重要な考察を提供しています。これらは共に犬童一男、山口定、高橋進との共編で、いずれも岩波書店から刊行されています。

また、イタリア政治に関する実証的な研究として、岡沢憲芙との共著『イタリアの政治――「普通でない民主主義国」の終り?』や『イタリアの経済――「メイド・イン・イタリー」を生み出すもの』などがあり、イタリアの政治的状況や文化、経済に関する読みごたえのある考察が行われています。その他にも、京都大学の平島健司と共編の『ヨーロッパ政治ハンドブック』や、文部科学省検定済教科書として認可された『政治・経済』著作もあります。

馬場氏は研究者としての活動にとどまらず、翻訳にも力を入れています。特にイタリアの政治思想家パオロ・ファルネーティの著作『危機と革新の政治学――イタリアのデモクラシー』や、ノルベルト・ボッビオの『イタリア・イデオロギー』の翻訳は、イタリアの政治学とその思想を日本語話者に広める重要な役割を果たしました。

学術論文と影響

馬場康雄は多岐にわたる論文を執筆しており、その中でも特に「ジョリッティ体制の危機」や「イタリア議会政治の危機とファシズム」などの研究は、イタリアの歴史と政治の理解を深めるものです。また、彼の論文は、戦後の日本とイタリアの比較研究にも触れ、国際的な視点から政治現象を考察しています。

教育と後進への影響

馬場氏の教育者としての側面も無視できません。彼の指導を受けた学者には、千葉大学の教授である水島治郎など、現在の日本の政治学界に影響を与える人物が多数います。彼の教育思想や研究スタイルは、多くの学生にとって貴重な学びの源となっています。

総括

馬場康雄は、日本の政治学の発展に多大な貢献を果たしており、特にイタリアの政治に関する深い知識と見識が評価されています。彼の著作や研究は今後も政治学の多様な側面を理解するための重要な資源として活用されることでしょう。

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