馬嵬駅の悲劇

馬嵬事変（ばかいじへん）

馬嵬事変は、唐の時代、安史の乱によって引き起こされた悲劇的な事件です。この事件は、皇帝玄宗が都を離れて逃亡する最中に発生し、宰相の楊国忠と寵姫の楊貴妃という、当時の権力の中枢にいた二人の死に繋がりました。

事件の背景

安史の乱は、755年に安禄山が挙兵したことで始まりました。この反乱は、唐王朝を揺るがすほどの大きなもので、都である長安にも危機が迫っていました。当時、朝廷内では宰相の楊国忠と安禄山の対立が激化しており、それが乱の原因の一つとも言われています。

756年6月、安禄山の軍勢が潼関に迫ると、玄宗は長安を捨てて蜀（現在の四川省）へと逃れることを決意します。この逃避行の途中で、馬嵬駅という場所で事件が起こります。

馬嵬駅での悲劇

玄宗一行が馬嵬駅に到着した際、護衛の兵士たちは食糧不足に陥り、不満を募らせていました。その矛先は、宰相である楊国忠に向けられます。兵士たちは楊国忠が事態を招いた元凶だと考え、彼を殺害しました。この混乱の中で、兵士たちはさらに楊貴妃の死を要求します。

楊貴妃は玄宗が深く愛した寵姫でありましたが、兵士たちの怒りは収まらず、玄宗はついに楊貴妃の死を受け入れざるを得ませんでした。楊貴妃は、この地で無念の死を遂げたのです。

その後

楊貴妃の死後、皇太子であった李亨は皇帝に即位し、玄宗は上皇となります。馬嵬事変は、唐王朝の権力構造に大きな変化をもたらし、安史の乱の終結後も、その影響は長く続きました。

馬嵬事変は、唐の盛世から衰退へと向かう転換点を示す出来事として、歴史に深く刻まれています。また、楊貴妃の悲劇的な最期は、後世の文学や芸術にも大きな影響を与え、様々な形で語り継がれています。

参考資料：馬嵬事変（記録に残された楊貴妃の死の顛末）

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