馬杉宗夫

馬杉宗夫（うますぎ むねお、1942年9月15日 - 2018年10月12日）は、日本の西洋中世美術史研究に多大な貢献をした学者です。武蔵野美術大学の名誉教授としても知られています。

広島県に生まれ、東京芸術大学で美術を学んだ後、フランスのパリ大学付属考古学研究所で博士号を取得。帰国後は、清泉女子大学や武蔵野美術大学で教鞭を執り、多くの学生を育成しました。2013年に武蔵野美術大学を定年退職し、名誉教授の称号を授与されました。

馬杉宗夫の研究は、特にロマネスク美術とゴシック美術に焦点を当てており、中世ヨーロッパの美術作品に込められた深い意味や背景を解き明かすものでした。その著作は、専門家だけでなく一般の読者にも中世美術への理解を深めるきっかけを提供しました。

2018年10月12日、肺炎により逝去。

主要な著作

『ロマネスクの旅 中世フランス美術探訪』（日本経済新聞社、1982年）
中世フランスのロマネスク美術を巡る旅をテーマにした著作。美術作品を通して中世の文化や歴史を読み解きます。

『大聖堂のコスモロジー 中世の聖なる空間を読む』（講談社現代新書、1992年）
中世の大聖堂を宇宙観（コスモロジー）という視点から読み解いた著作。建築だけでなく、当時の人々の精神世界にも迫ります。

『スペインの光と影 ロマネスク美術紀行』（日本経済新聞出版社、1992年）
スペインのロマネスク美術を紹介した紀行本。美しい写真とともに、スペインの歴史と文化に触れることができます。

『黒い聖母と悪魔の謎 キリスト教異形の図像学』（講談社現代新書、1998年、講談社学術文庫、2007年）
キリスト教美術に登場する異形の図像をテーマにした著作。聖母像や悪魔の図像が持つ象徴的な意味を深く掘り下げています。

『シャルトル大聖堂 ゴシック美術への誘い』（八坂書房、2000年）
ゴシック美術の傑作、シャルトル大聖堂を紹介した著作。大聖堂の建築的特徴や美術的価値を解説しています。

『ロマネスクの美術』（八坂書房、2001年）
ロマネスク美術の全体像を捉えた著作。建築、彫刻、絵画など、さまざまな側面からロマネスク美術の魅力を紹介しています。

『パリのノートル・ダム』（八坂書房、2002年）
パリのノートルダム大聖堂に焦点を当てた著作。大聖堂の歴史、建築、美術について詳細に解説しています。

『ゴシック美術 サン・ドニからの旅立ち』（八坂書房、2003年）
ゴシック美術の起源と発展をたどる著作。サン・ドニ修道院の建設からゴシック美術の展開を考察しています。

共著・編纂

『ファブリ研秀世界美術全集 8 ダヴィッド、アングル、ドラクロワ、ジェリコー、シャッセリオー』（研秀出版、1976年）
19世紀のフランス美術を代表する画家たちを紹介した美術全集の一冊。

『世界の聖域 15 シャルトルの大聖堂』（柳宗玄共著、講談社、1980年）
シャルトル大聖堂の歴史や建築、美術を解説した書籍。

翻訳

アルベルト・マルティーニ『世界の至宝 3 イスラム/ロマネスク/ゴシック』（ぎょうせい、1983年）
中世の美術を概観した書籍の日本語訳。

ユルギス・バルトルシャイティス『異形のロマネスク 石に刻まれた中世の奇想』（講談社、2009年）
ロマネスク美術に潜む異形な表現に焦点を当てた書籍の日本語訳。

馬杉宗夫は、その生涯を通じて西洋中世美術史の研究と普及に尽力しました。彼の著作は、今もなお多くの人々にとって、中世美術への理解を深めるための貴重な資料となっています。

もう一度検索