馬殷

馬殷：楚の初代王、その生涯と業績

馬殷（ば いん）は、五代十国時代の楚の初代王（在位：907年 - 930年）。唐末から五代にかけての激動の時代を生き抜き、楚を建国した人物です。

生涯

大中6年（852年）、許州鄢陵県（現在の河南省許昌市鄢陵県）に生まれました。元々は木工職人でしたが、唐王朝の衰退と各地での反乱が相次ぐ混乱期に、秦宗権の武将・孫儒の配下として軍事の世界に入ります。各地を転戦し、その武功によって頭角を現しました。

孫儒の死後、劉建峯の配下となり、潭州（現在の湖南省長沙市）を中心に勢力を拡大。劉建峯の死後、その地位を継承し、潭州における実力者となりました。

乾寧3年（896年）には、武安軍節度使に任じられます。天祐4年（907年）に唐が滅亡し、後梁が成立すると、後梁の太祖・朱晃から楚王に封じられました。龍徳3年（923年）に後梁が後唐に滅ぼされると、今度は後唐に臣従し、その庇護のもとで巧みに勢力を拡大しました。

政治においては、中央王朝の制度を積極的に導入し、国家としての体制を整えることに尽力しました。また、産業の奨励や発展を図るなど、内政面でも優れた手腕を発揮しました。

長興元年（930年）に死去。享年79歳でした。

家族

父：馬元豊
弟：馬賨、馬存
妻妾：袁夫人、陳夫人、華夫人
男子：
馬希振
衡陽王 馬希声 - 母は袁夫人
文昭王 馬希範 - 母は陳夫人
馬希旺 - 母は袁夫人
馬希杲 - 母は華夫人
馬希瞻
恭孝王 馬希萼
馬希崇
馬希広
馬希能
馬希貫
馬希濬
馬希知
馬希隠
馬希朗
女子：
銭元璛（呉越の武粛王銭鏐の子）の妻
南漢の高祖劉龑の皇后

馬殷を題材とした小説

* 田中芳樹著「茶王一代記」（『異色中国短篇傑作大全』講談社文庫所収）

まとめ

馬殷は、木工職人から王にまで上り詰めた稀有な人物であり、その生涯は波乱に満ちています。唐末の混乱期を生き抜き、楚を建国し、その基盤を築き上げた功績は大きく、五代十国時代の歴史において重要な役割を果たしました。

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