馬希範

馬希範（ば きはん）は、五代十国時代の楚の第3代の王であり、武穆王・馬殷の四男として生まれました。

王位継承と初期の治世

長興3年（932年）、異母兄である衡陽王・馬希声の死後、馬殷の遺命により、鎮南軍節度使であった馬希範がその後を継いで楚の支配者となりました。後唐からは武安武平両軍節度使兼中書令に任じられ、清泰元年（934年）には楚王に封じられました。これにより、馬希範は名実ともに楚の王としての地位を確立しました。

文化と浪費

馬希範は学問を好み、特に漢詩に長けていたと伝えられています。しかし、その一方で、彼の浪費癖は著しく、国家財政に大きな負担をかけました。正妻である彭夫人（唐の吉州刺史・彭玕の娘）が亡くなった後は、特に好色に走り、数多くの宴席を設けたとされています。また、天策府を建築した際には、門戸の装飾に金や玉を使用し、壁の塗装には数十万斤もの丹砂を用いたという記録が残っています。

財政の逼迫と国内の混乱

楚は金銀を産出し、茶葉の販売による利益も大きかったため、比較的豊かな国でした。しかし、馬希範の度重なる奢侈により、国家財政は逼迫し、住民への課税が強化されました。さらに、売官行為や贖罪刑が横行し、国内は混乱しました。これらの政策は、民衆の不満を高め、社会不安を招いたと考えられます。

死とその後

天福12年（947年）に馬希範は亡くなり、文昭王と諡されました。その後、王位は弟の馬希広が継承しました。馬希範の治世は、文化的な側面と浪費による負の側面の両面を持ち合わせており、楚の歴史において複雑な評価を受けています。

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