駐屯地司令

駐屯地司令とは

駐屯地司令は、陸上自衛隊の各駐屯地に置かれる役職であり、駐屯地の管理運営における責任者です。分屯地には分屯地司令が、航空自衛隊の基地には基地司令が、それぞれ同様の役割を担います。海上自衛隊には相当する役職はありません。駐屯地司令は、部隊長との兼任であり、専任の司令官は存在しません。

本稿では、主に陸上自衛隊の駐屯地司令について解説しますが、航空自衛隊の基地司令にもほぼ共通する任務があるため、まとめて扱います。

任務

駐屯地司令の主な任務は、以下の通りです。

駐屯地の警備と管理
駐屯地における隊員の規律維持
その他、防衛大臣が定める職務

これらの任務は、自衛隊法施行令第51条によって定められています。航空自衛隊の基地司令の任務については、関連訓令を参照してください。

権限

駐屯地司令は、以下の権限を有します。

駐屯部隊への要望事項の提示
駐屯地規則の策定・改正
日課時限の変更（方面総監の許可が必要）

規則の策定や改正には、駐屯地幕僚会同を開き、幕僚の意見を踏まえる必要があります。

駐屯地司令に充てられる自衛官

原則として、駐屯地司令は、その駐屯地に所在する部隊の長のうち、最上位の自衛官が充てられます。しかし、上級司令部所在の駐屯地では、以下の例外があります。

市ヶ谷駐屯地：中央業務支援隊長
方面総監部所在駐屯地：方面総監部幕僚長
師団・旅団司令部所在駐屯地：副師団（旅団）長

駐屯地司令を兼務する部隊長は、陸将から2佐までの階級を持つ自衛官です。過去には3佐が充てられた例もあります。中央即応集団司令部が座間駐屯地に設置されていた際は、同司令部幕僚長が駐屯地司令に指定されていました。

特記事項

駐屯地司令は、原則として駐屯地の最先任者が兼務しますが、実際には、駐屯地の基幹部隊長や、駐屯地司令職務担任部隊の長が兼務することが多いです。

駐屯地司令の選任は、部隊長の定期異動に伴う混乱を避けるため、予め司令職を兼務する部隊が指定されています。

複数の部隊が駐屯する場合には、序列や階級に関わらず、駐屯地司令職務担任部隊の長が司令に任命されます。海外派遣の可能性が高い部隊の長を司令職にすると、派遣時に代行者を指定する必要があるため、別の部隊長が司令に任命されることもあります。

駐屯部隊が小規模の場合、中隊長が駐屯地司令を兼務することもあり、その場合、中隊長の階級は2佐となることがあります。

駐屯地業務隊長が駐屯地司令を兼務したのは、檜町駐屯地と市ヶ谷駐屯地の中央業務支援隊の2例のみです。

師団以上の司令部がある駐屯地では、駐屯地司令を兼務する陸将補よりも上位の陸将補が在籍する場合もありますが、規則に基づき副師団長が駐屯地司令を兼ねることがあります。航空自衛隊では、基地業務担当部隊長が基地司令を兼務します。

駐屯地司令を兼務する部隊長が事故等で不在になった場合は、同規模の部隊長が代行に任命されます。

駐屯地司令職務担任部隊の長である2佐の指揮官は、公用車を使用する際に1佐待遇の車両標識を掲示します。

駐屯地本部隊舎には専用の個室が設けられており、司令職務室の設置や駐屯地の総合窓口としての運営は、当該部隊の総務課などが担当します。

女性初の駐屯地司令は、2019年8月に就任した横田紀子1等陸佐、次いで2022年12月に就任した栗田千寿1等陸佐です。

まとめ

駐屯地司令は、駐屯地の秩序と運営を維持する上で不可欠な存在です。その選任は、部隊の規模や特性、そして組織全体の効率性を考慮して決定されています。

関連項目

衛戍司令官（大日本帝国陸軍）
駐屯地業務隊 / 基地業務隊 / 基地業務群

外部リンク

駐屯地司令及び駐屯地業務隊等に関する訓令
* 基地司令及び基地業務に関する訓令

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