駐満海軍部

駐満海軍部の概要

駐満海軍部（ちゅうまんかいぐんぶ）は、日本海軍の出先機関として、満洲国の新京（現在の長春）に設置されていました。この組織は、要港部に匹敵する権限を持ち、満洲国沿岸および河川の防衛と警備を担当する役割を果たしていました。

沿革

駐満海軍部の歴史は、1931年に遡ります。この年の9月18日に柳条湖事件が発生し、それを契機に満洲事変が始まりました。1932年には、日本海軍が奉天に満洲海軍特設機関を設置し、その後、新京へ移転しました。同年3月には満洲国が建国され、日本軍による駐屯が日満議定書で明文化されました。

1933年4月1日には、駐満海軍部が正式に設立され、小林省三郎少将が初代司令官に就任しました。その後、1938年には駐満海軍部が廃止されるまでの間、臨時海軍防備隊と共に日本海軍の活動に寄与しました。

任務と役割

駐満海軍部の主な任務は、満洲国沿岸や河川の防衛と警備でした。また、満洲国における海軍施設や港務、運輸、通信においても重要な役割を担っていました。司令官は天皇に直隷し、部下の艦船部隊を指揮しました。この組織には、特務機関としての性質だけでなく、独自に兵力を行使できる広範な権限が与えられていました。

駐満海軍部は、満洲国の軍事行政機関である軍政部艦政課と連携し、海軍の整備にも尽力しました。艦政課には日本海軍の予備役軍人も参画しており、艦艇の新造についても積極的に進めていました。

満洲国海軍との関係

駐満海軍部は、満洲国軍と協力しながら、その整備や作戦計画に承認を与えました。特に、江防艦隊との協力が重要であり、治安維持や河川における作戦に関与しました。満洲国海軍は、東北海軍を基盤に形成され、駐満海軍部の指導を受けて活発に活動していました。江防艦隊は、満洲国唯一の艦隊として、反乱軍や匪賊に対する作戦を実施しました。

海辺警察隊との連携

駐満海軍部は、満洲国内の海岸警備を担う民政部警務司とも連携し、海辺警察隊の整備にも寄与しました。この警察隊は不正入国や密輸の取り締まりを行い、後に海上警察隊としても機能しました。日本海軍からの支援を受け、海上警察隊は満洲国最大の艦艇となる「海威」を運用しました。

日本海軍の撤収

駐満海軍部の廃止には、在満機関改革問題や関東軍との対立が影響していました。関東軍は駐満海軍部を問題視し、さらなる権力闘争が繰り広げられた結果、駐満海軍部の活動は縮小されていきました。最終的には、満洲国海軍も陸軍に編入され、駐満海軍部は解体されたのです。

歴代司令官

駐満海軍部の初代司令官である小林省三郎少将は、後の時代において権限が強化されましたが、関東軍との摩擦により、その後の司令官は控えめな人物が任命されることになりました。これにより、日本陸海軍の緊張関係が継続する中で、駐満海軍部の影響力が低下していきました。

以上が駐満海軍部の歴史や役割についての概略です。満洲国における日本海軍の関与は、当時の国際情勢や軍事的状況に大きな影響を与えました。

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