駒場車庫前停留場

駒場車庫前停留場と駒場車庫

北海道函館市駒場町にある函館市電湯の川線の駒場車庫前停留場（こまばしゃこまえていりゅうじょう）は、函館市企業局交通部が管轄する路面電車の停留場です。駅番号はDY04が付与されています。この停留場の最大の特徴は、函館市電の運行を支える一大拠点である駒場車庫（こまばしゃこ）に隣接している点にあります。

函館市電運行の中核、駒場車庫の成り立ち

駒場車庫の歴史は、1934年（昭和9年）12月27日に施設の建設が完了したことに始まります。これは、同年発生した函館大火によって従来の新川車庫が焼失したことを受け、その代替施設として計画されたものです。建設地には、かつて柏野野球場（函館太洋倶楽部の本拠地）の跡地が選ばれました。記録によれば、開設当初は周辺の地名にちなみ、「柏野車庫」と呼ばれていた時期があったようです。

開業当初、函館市電の車庫や営業所は駒場以外にもあり、特に柏木町や梁川町に主要な施設が置かれ、駒場は主に車両の整備を行う工場機能のみを担っていました。しかし、事業の合理化を推進するため、1973年（昭和48年）から翌1974年（昭和49年）にかけて、柏木町と梁川町の車庫・営業所が廃止され、それらの機能が駒場に集約されました。これにより、駒場は名実ともに函館市電の運行管理、車両整備、および車両の保管を行う中心拠点となったのです。

さらに、2002年（平成14年）10月7日には、函館市役所末広町分庁舎の閉鎖に伴い、そこに入居していた管理部や運輸部といった主要部門が、駒場車庫敷地内に新築された管理庁舎へ移転しました。これにより、運行に関する司令塔機能も駒場に集中し、その重要性が一層高まりました。

停留場と車庫の構造

駒場車庫前停留場は、相対式ホームが二つ設けられた2面2線の構造をとっています。上下線でホームの配置が異なっているのが特徴です。特に、湯の川方面行きのホームは比較的長く設計されています。これは、車両の点検時や故障が発生した場合、あるいはダイヤ調整のために電車を交換する必要が生じた際にスムーズに対応できるよう考慮されているためです。また、この長いホームでは、終点の湯の川行き電車と当停留場止まりの電車とで停止位置が異なる運用が行われています。

停留場の周囲には横断歩道がありませんが、利用者が安全に線路を横断できるよう、横断指導線による歩行者横断帯が上下線それぞれに二箇所設置されています。湯の川方面へ向かう電車は、通常この停留場で乗務員の交代が行われることでも知られています。

一方、駒場車庫には、営業所、車庫、工場、そして電力供給を担う変電所など、市電運行に必要な多様な機能が集約されています（ただし、変電所は東雲町にも存在します）。車庫への入出庫線は東西両側に設けられており、東側の線路は湯の川方面行き本線路に、西側の線路は函館駅前方面行き本線路にそれぞれ接続しています。西側の入出庫線が車庫前の道路と交差する位置には、営業所棟が建てられています。ここでは、電車の運行に関する指示出しをはじめ、運行時刻に関する問い合わせ、貸切予約の受付、車内忘れ物への対応といった利用者への案内業務が行われています。また、乗車券類やオリジナルの市電グッズを販売する窓口も併設されており、市民や観光客に利用されています。

周辺情報と配置車両

停留場や車庫の周辺には、主要な道路である北海道道83号函館南茅部線が通っています。また、函館バスの「駒場車庫前」停留所も近接しており、他の交通機関への乗り換えも可能です。

駒場車庫には、現在（情報時点）、合計37両の函館市電車両が配置されています。

隣接する停留場

函館市企業局交通部 湯の川線における隣接停留場は以下の通りです。

* 函館アリーナ前停留場 (DY03) ← 駒場車庫前停留場 (DY04) → 競馬場前停留場 (DY05)

駒場車庫前停留場は、単なる乗り降りする場所としてだけでなく、函館市電の維持・運行を支える心臓部である駒場車庫と一体となった、非常に重要な拠点と言えます。

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