駿河トラフ

駿河トラフとは

駿河トラフは、駿河湾の海底に存在する深い溝状の地形であり、その形状から「舟状海盆」とも呼ばれます。このトラフは、伊豆海脚や金洲ノ瀬付近の狭まった部分を境に、北側を駿河トラフ、南側を南海トラフと区別して呼ばれることがあります。駿河トラフは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいる場所であり、プレートの境界として、南海トラフとともに、収束型境界の代表的な地形とされています。

伊豆半島の東側には相模トラフが存在し、駿河トラフと並んで日本列島周辺の複雑なプレート構造を形成しています。

駿河トラフにおける地震

駿河トラフ周辺は、過去に安政東海地震などの巨大地震が発生した地域であり、現在も地震活動が活発なエリアです。特に、1854年の安政東海地震以降、この地域では大規模な地震が発生していないため、地震空白域として注目されています。フィリピン海プレートは常にユーラシアプレートの下に沈み込み続けており、その結果として駿河トラフで東海地震が発生する可能性が指摘されています。

ただし、過去の地震発生記録を調査した結果、駿河トラフのみを震源とする単独の巨大地震が発生したという明確な証拠は、現在のところ確認されていません。そのため、東海地震は、駿河トラフだけでなく、南海トラフなど周辺のプレート境界と連動して発生する可能性も考慮する必要があります。

地震観測体制

この地域での地震発生を予測し、被害を軽減するために、地震観測体制が強化されています。1978年に制定された「大規模地震対策特別措置法」に基づき、気象庁は東海地震の想定震源域である海底に、水圧計、ケーブル式海底地震計、傾斜計などの観測機器を集中して配置し、地震や地殻変動を常時連続的に観測しています。

具体的な観測網の整備としては、以下のようなものが挙げられます。

1979年：御前崎沖に、総延長約150kmの東海沖ケーブル式常時海底地震観測システムが設置されました（地震計：4箇所）。
2008年：東海沖ケーブル式常時海底地震観測網の西側海域に、総延長約220kmの東海・東南海沖ケーブル式常時海底地震観測システムが設置されました（地震計：5箇所、津波計装置：3台）。

これらの観測システムによって、駿河トラフ周辺の地震活動や地殻変動の状況を詳細に把握し、地震発生の予測精度向上や防災対策に役立てることが期待されています。

関連情報

南海トラフ: 駿河トラフの南に位置する、同様のプレート境界。
相模トラフ: 伊豆半島の東に位置する、別のプレート境界。
日本海東縁変動帯: 日本海側のプレート境界。
糸魚川静岡構造線: 日本列島を横断する大規模な断層。
日本列島: 駿河トラフを含む、地震活動が活発な地域。
浜岡原子力発電所: 駿河トラフ周辺に位置する原子力発電所。
東海地震: 駿河トラフを震源とする可能性が指摘されている巨大地震。
銭洲海嶺: 駿河トラフ近傍の海底山脈。

外部リンク

* 主な海底地震計の整備について (PDF) (p.5を参照)

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