騎兵大将軍

騎兵大将軍（きへいたいしょうぐん）は、奈良時代の日本の律令制下で臨時に設置された武官です。主に、外国からの使節を迎える際や、天皇が行幸する際に、その威儀を整え、警護を行うために、諸国から徴発された騎兵部隊を指揮する役割を担いました。騎兵司とも呼ばれます。

歴史

騎兵大将軍の初見は、『続日本紀』の慶雲2年（705年）11月乙丑の条に遡ります。この時、新羅からの使節を迎えるにあたり、紀古麻呂（きのこまろ）が騎兵大将軍に任じられました。

その後、天平12年（740年）に藤原広嗣の乱が発生した際、聖武天皇が伊賀国・伊勢国に行幸した際に、藤原仲麻呂（ふじわらのなかまろ）が前騎兵大将軍に、紀麻路（きのまじ）が後騎兵大将軍に任じられ、400騎もの騎兵を率いて天皇の警衛にあたらせたという記録が残っています。

また、天平神護元年（765年）には、称徳天皇が河内国弓削に行幸した際、藤原縄麻呂（ふじわらのただまろ）と百済王敬福（くだらのこにきし きょうふく）がそれぞれ騎兵大将軍に任命されています。

役割と職務

騎兵大将軍の主な役割は、以下の通りです。

外国使節の入京時の威儀: 外国からの重要な使節が都に入る際、騎兵部隊を率いてその行列を整え、国の威信を示す役割を担いました。
天皇行幸時の警護: 天皇が都を離れて行幸する際、騎兵部隊を率いて天皇の身辺を警護し、安全を確保する役割を担いました。
治安維持: 国内の治安が不安定な状況下では、騎兵部隊を率いて治安維持活動を行うこともあったと考えられます。

騎兵大将軍は、常設の官職ではなく、必要に応じて臨時に任命されるものでした。そのため、その役割や具体的な職務内容については、史料が限られており、不明な点も多く残されています。

騎兵大将軍は、律令制下の日本における軍事制度の一端を示すものであり、当時の外交や内政における天皇の権威を示す重要な役割を担っていたと考えられます。

関連項目

征夷大将軍
征東将軍
征西将軍
鎮守府将軍
征討大将軍
大将軍
将軍
* 副将軍

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