騎兵連隊

騎兵連隊とは

騎兵連隊は、その名の通り騎兵を主体とする連隊です。大きく分けて、戦略的な機動打撃を担う部隊と、歩兵師団に付属して偵察任務を行う部隊の二種類が存在しました。また、国によっては軽[[騎兵]]や槍[[騎兵]]など、騎兵の種類に応じた連隊が編成されることもありました。

編成の特徴

歩兵連隊とは異なり、大隊を持たず中隊を基本単位として構成されることが一般的でした。これは、騎兵の機動力を最大限に活かすための編成と言えるでしょう。

機械化への移行

第一次世界大戦以降、騎兵は徐々に機械化されていきました。その結果、騎兵連隊という名称を持ちながらも、実質的には戦車連隊や自動車化歩兵連隊として運用される例も現れました。

現代における騎兵連隊

第二次世界大戦後、騎兵連隊は廃止される傾向にあります。現在では、アメリカ、イギリス、フランスなど一部の国でその名残が見られる程度です。これらの国々でも、もはや伝統的な名称として「騎兵」を冠しているに過ぎません。

大日本帝国陸軍における騎兵連隊

創設期

1888年（明治21年）に陸軍が師団制に移行した際、各師団には騎兵大隊が配備されましたが、この時点では騎兵連隊は存在しませんでした。日清戦争後、日露戦争に向けて騎兵の兵力増強が進められ、各師団に5個中隊からなる騎兵連隊が標準的に編成されました。歩兵連隊と同様に、連隊旗（軍旗）を持つ連隊でもありました。

また、騎兵を集中的に運用するため、近衛師団と第1師団には3個騎兵連隊からなる騎兵旅団も創設されました。日露戦争終結時には、21個の騎兵連隊が投入されました。

戦力拡充

日露戦争後も、騎兵戦力の拡充は進められました。第3師団と第8師団にも騎兵連隊が増設され、騎兵旅団が編成されました。大正時代には財政難がありましたが、21個師団に29個の騎兵連隊が設置されました。

戦力見直し

第一次世界大戦を契機に、日本でも騎兵戦力の見直しが議論されるようになりました。1922年から1923年にかけての山梨軍縮では、連隊の編制が縮小され、騎兵旅団隷下の戦略騎兵では5個中隊から4個中隊、師団騎兵では2個中隊となりました。1925年の宇垣軍縮では、4個師団の削減に伴い、騎兵連隊も4個連隊が削減されました。

機甲化と捜索連隊への改編

昭和期に入ると、騎兵連隊に機関銃中隊が配備されるなど、火力強化が図られました。一方で、機甲化も進められ、騎兵連隊の多くは捜索連隊へと改組されました。ただし、近衛騎兵連隊や一部の連隊は、その名称を保持し続けました。

1940年には、自動車化騎兵連隊として騎兵第71連隊と第72連隊が設置されましたが、これらは名称こそ騎兵連隊でしたが、実質的には自動車化部隊でした。一方で、騎兵第49連隊のような乗馬編成の騎兵連隊も新設されました。

一部の師団では、騎兵大隊や騎兵隊としての編成を取り、軍旗を持たない場合もありました。捜索連隊に改編される際には軍旗は返納されましたが、騎兵連隊の名称を保持している連隊は、編制に関わらず終戦まで軍旗を有していました。

最後の騎兵戦闘

1945年、太平洋戦争（大東亜戦争）中の中国戦線における老河口作戦で、騎兵第4旅団が乗馬突撃を行い、世界戦史における最後の騎兵戦闘となりました。同旅団は、日本最後の騎兵旅団でもありました。3月27日には老河口飛行場の乗馬襲撃・占領に成功し、騎兵の活躍の歴史に幕を閉じました。

軍隊符号

帝国陸軍における騎兵連隊の軍隊符号はK、捜索連隊はSOとされました。近衛騎兵連隊はGK、騎兵旅団はKBと表記されました。

騎兵連隊の一覧

騎兵大隊

騎兵連隊の前身である騎兵大隊は、1888年から1896年にかけて存在しました。

騎兵連隊

陸軍常備団隊配備表による騎兵連隊の推移は以下の通りです。

1896年3月: 近衛騎兵連隊、騎兵第1～第12連隊
1907年9月: 近衛騎兵連隊、騎兵第1～第26連隊
1922年9月: 近衛騎兵連隊、騎兵第1～第28連隊
1925年3月: 近衛騎兵連隊、騎兵第1～第28連隊（ただし騎兵第17,19,21,22連隊は欠）

注釈

関連項目

秋山好古
西竹一
鈴木文次郎
大日本帝国陸軍師団一覧

外部リンク

* 帝国陸軍～その制度と人事～ - ウェイバックマシン（2004年2月5日アーカイブ分）

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