軍隊符号

軍隊符号とは

軍隊符号（ぐんたいふごう）とは、軍事作戦において、部隊や施設の位置、状態などを地図上に表示するために用いられる記号の総称です。兵科記号とも呼ばれ、文字、数字、略号、色などを組み合わせて構成されます。

概要

軍隊符号は、戦術作戦において、地図上で部隊や施設の状況を把握しやすくするために用いられます。これにより、情報の伝達を効率化し、迅速な意思決定を支援します。符号は、大規模な部隊から小規模な部隊、司令部、通信所、兵器など、軍事に関わるあらゆる要素を表現できるように細かく定められています。

軍隊符号は国によって異なり、陣営が異なると全く異なる様式が用いられることもあります。西側諸国では、北大西洋条約機構（NATO）が標準化した兵科記号が広く使用されています。この標準記号は、アメリカ陸軍で使用されていたものをベースに、陸上部隊を表す四角形の中に兵科を表す記号を配置し、上部に部隊規模を示す記号を付加する形式となっています。西側諸国では、フランスを除き、旅団以上の規模を示す記号は指揮官の階級章と同じ星の数で表されます。第二次世界大戦中のドイツ軍では、菱形が戦車部隊を示すなど、独自の記号体系を用いていました。

日本陸軍の軍隊符号

大日本帝国陸軍では、部隊の種別や兵科を簡略表記した符号として、「隊標」と「略字」が用いられました。これらを総称して「軍隊符号」と呼びました。隊標は図案化された旗や四角、三角、矢印などの記号を組み合わせたもので、略字は主にフランス語、ドイツ語、英語、日本語の頭文字を組み合わせて作成されました。

隊標

隊標は、旗、四角、三角、矢印、丸印、星印、十字など、多種多様な記号が用いられました。これらの記号を組み合わせることで、様々な部隊を表すことができました。例えば、大本営は「黒点を付した四角旗を付した中黒の丸印」、歩兵師団司令部は「縦二色の三角旗を付した白丸」、歩兵旅団司令部は「六芒星」、歩兵連隊本部は「真白の四角旗を付した中黒の丸印」で表されました。

略字

略字は、兵科、兵種、部隊などを表すために用いられ、主にアルファベット、日本語文字、アラビア数字、ローマ数字、漢数字を組み合わせて構成されました。

主要な例としては、以下のものがあります。

兵科・兵種:
i (歩兵)
A (砲兵)
K (騎兵)
P (工兵)
T (輜重兵)
S (衛生隊)
E (鉄道隊)
陸軍の編成:
SA (総[[軍]])
HA (方面[[軍]])
A (軍)
D (師団)
B (旅団・団)
R (連隊)
b (大隊)
K ないし c (中隊)
陸軍航空部隊:
FSA (航空総[[軍]])
FA (航空軍)
FD / KD (飛行師団 / 航空師団)
FB (飛行団)
FR / F (飛行戦隊)
Fc (飛行中隊)
陸軍船舶部隊:
SeC (船舶司令部)
SeU (船舶輸送司令部)
SeH (船舶兵団司令部)
SeD (船舶団司令部)
SeY (揚陸隊)
SeP (船舶工兵連隊)
SeTL (船舶通信連隊)
SeA (船舶砲兵連隊)
兵器・兵器運用部隊:
MW (擲弾筒)
LG (軽機関銃)
MG (機関銃隊・重機関銃)
MA (機関砲隊・機関砲)
TA (速射砲隊・速射砲)
iA (歩兵砲隊・歩兵砲)
RiA (連隊砲隊・連隊砲)
biA (大隊砲隊・大隊砲)
K (加農)
H (榴弾砲)
M (臼砲)
AA (高射砲)
HMG (高射機関銃)
HMA (高射機関砲)
TK (戦車・戦車隊)
LTK (軽戦車)
MTK (中[[戦車]])
STK (重戦車)
* PW (装甲車・装甲車隊)

近衛部隊には「G」、混成部隊には「M」、特設部隊には「Ex」、独立部隊には「s」が略字に付加されました。隊号は、数字を略字に冠して表記され、「2SA（第2総[[軍]]）」、「1HA（第8方面[[軍]]）」のように表されました。また、部隊内の隊を表記する際には、大隊はローマ数字、中隊はアラビア数字で表記されました。上級部隊の番号を併記する際は斜線を用い、「II/2i（歩兵第2連隊第2大隊）」のように表記されました。

これらの略字は、必ずしも固有のものではなく、便宜的に用いられることもありました。例えば、「SA」は総[[軍]]を表す一方で、野戦重砲兵を意味することもありました。

まとめ

軍隊符号は、軍事作戦において地図上での情報伝達を効率化するための重要なツールです。国や時代によって様々な形式が存在しますが、その目的は共通しています。この記事では、軍隊符号の概要と、特に日本陸軍における符号について詳しく解説しました。これらの知識は、軍事史や戦術を理解する上で非常に役立つでしょう。

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