宇垣軍縮

宇垣軍縮（うがきぐんしゅく）

宇垣軍縮は、1925年に加藤高明内閣の陸軍大臣である宇垣一成の主導によって実施された日本陸軍の軍縮を指します。この軍縮は、第一次世界大戦後の世界的な軍縮の流れの中で、陸軍においても必要とされるものでした。特に、極東地域における軍事的脅威が緩和されていたため、陸軍の規模を見直すことが求められていました。

背景

1923年の関東大震災が復興費用の増大を招く中、初代の山梨半造陸軍大臣のもとでの山梨軍縮が実施されていましたが、国民や政府の期待には応えきれず、さらなる軍縮が求められました。そのため、宇垣大臣の指導下で第三次軍備整理が実施されることとなります。宇垣軍縮では、具体的に21の師団の一部を廃止し、約34,000人の将兵が削減されることが決定されました。

廃止された部隊

以下の部隊が廃止されました：

• - 第13師団（高田）
• - 第15師団（豊橋）
• - 第17師団（岡山）
• - 第18師団（久留米）
• - 連隊区司令部16ヶ所
• - 陸軍病院5ヶ所
• - 陸軍幼年学校2校

これにより、将兵の数と共に軍馬も約6,000頭が削減されました。

新しい設置

一方で、以下のような新しい連隊や学校が設置されました：

• - 戦車連隊（久留米）
• - 高射砲連隊（浜松）
• - 飛行連隊（浜松および屏東）
• - 台湾山砲連隊（台北）
• - 陸軍自動車学校（東京）
• - 陸軍通信学校（神奈川）
• - 陸軍飛行学校（三重、千葉）

これにより、新たな軍事技術の習得と戦力の近代化が図られていきました。

地域への影響

師団の廃止は地域にとって大きな衝撃を与えました。特に地方における軍事的存在感が低下したため、国民は軍部に対しての不信感を強め、軍部蔑視の風潮が生まれました。陸軍の士気も低下し、軍の近代化に向けての努力が進められる一方で、師団数の削減による将校不足が後の関係性に影響を与えました。

派閥対立の起源

宇垣軍縮に反対する勢力は、荒木貞夫や真崎甚三郎を中心に集結し、これは後の皇道派形成の契機となりました。派閥間の対立は激化し、陸軍内部の力関係に大きな影響を及ぼしました。

評価と結末

宇垣軍縮の結果として、将兵数は約10万人、つまり平時兵力の約3分の1が削減されました。ただし、師団の数は維持され、将官のポストも減少しなかったため、組織の運営には混乱が見られました。一方で、宇垣の取り組みが陸軍の「体質改善」に向けた重要なステップとして評価されることもありますが、将校の大量退役や進級の停滞は、後の日中戦争における将校不足の要因となったとも言われます。

最終的に、山梨軍縮と宇垣軍縮による陸軍省予算の削減は約10%にとどまり、期待されたほどの効果がなかったことが明らかです。このように、宇垣軍縮は日本陸軍にとって重要な歴史的転換点となり、その影響は長年にわたって続くこととなります。

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