騎士団長殺し

騎士団長殺し (Killing Commendatore)

概要

『騎士団長殺し』は、村上春樹の14作目となる長編小説で、新潮社から2017年2月24日に発行されました。本作は全2巻からなり、第1部「顕れるイデア編」と第2部「遷ろうメタファー編」に分かれています。初版の部数は130万部を記録し、一部の書店では発売日の午前0時から販売が開始されました。本書は、2010年の『1Q84 BOOK3』以来、7年ぶりの長編作品となります。

表紙には「Killing Commendatore」という英訳が施され、作品の雰囲気を表現しています。

あらすじ

物語は、離婚を切り出された主人公の「私」が自身の心の整理をつけるために家を出るところから始まります。放浪的な旅を経て、友人の父が所有するアトリエに身を寄せることになった「私」は、そこで『騎士団長殺し』という名の日本画を見つけます。この絵が物語の中心となり、さまざまな不思議な出来事を引き起こします。

アトリエの裏には小さな祠と塚があり、主人公がその塚を掘り起こしたところ、石室と仏具が見つかります。この出来事がきっかけとなり、主人公はイデアの顕現やメタファーの通路と呼ばれる異空間への導きといった、奇妙な事件に巻き込まれていくのです。

登場人物

• - 私: 36歳の肖像画家で、離婚問題を抱え放浪の果てにアトリエに住みつきます。閉所恐怖症を持っています。
• - 柚: 主人公の妻で、3歳年下の二級建築士。離婚を決めたことで別の男性と交際を始めます。
• - 小径: 主人公の故妹で、12歳で亡くなった。彼女の存在が主人公の心に影を落とします。
• - 雨田政彦: 主人公の友人で広告代理店に勤めている独身男性。主人公のアトリエ生活の手助けをします。
• - 雨田具彦: 政彦の父親で高名な日本画家。高齢で認知症を患い、未発表の作品が物語の鍵となります。
• - 免色渉: 謎めいた男で、過去に大きなトラブルを抱えています。
• - 秋川まりえ: 中学生で、主人公が教える絵画教室の生徒。彼女の背景にも悲劇が秘められています。

重要なテーマと文化的要素

本作の中で描かれる「イデア」や「メタファー」は、主人公が直面する内面的な葛藤と密接に関係しています。また、著者が好む音楽や文学、映画が登場し、登場人物たちの心の動きを豊かに描写します。特に、ドビュッシー、ビートルズ、ブルース・スプリングスティーンらの音楽が舞台背景と相まって物語に深みを与えています。

結論

『騎士団長殺し』は、主人公が女性との関係や過去の影響と向き合いながら、人生を再生させる旅を描く作品です。物語の中での不思議な出来事と現実が交錯し、村上春樹独特の神秘的な世界観が展開されます。読者は、登場人物たちの心理や葛藤を通じて、自身を見つめ直すきっかけを得ることでしょう。

もう一度検索