仏具

仏具：仏教儀式の道具と装飾品

仏具とは、仏教の儀式に用いられる特殊な道具や、僧侶などが用いる装飾品の総称です。法具や法器と呼ばれることもあります。仏像や仏壇といった中心となるものから、お供え物を入れる器、読経に用いる道具、僧侶の装身具など、多岐にわたります。

仏具の歴史と起源

仏教初期の戒律では、僧侶は三衣一鉢以外の所持を禁じられていました。しかし、釈迦の入滅後、信者からの寄付を認める派と戒律を厳守する派との間で教団が分裂。寄付を認める派では、僧侶が金品を所有することが許されるようになり、それが仏具の起源の一つと言われています。

仏教がインドから中国、そして日本へと伝わるにつれ、仏具の種類も多様化していきました。中国で発達した密教では、金剛杵や曼荼羅といった独特の仏具が用いられるようになり、浄土信仰の普及とともに、一般の人々が家庭で仏具を使用するようになりました。

日本の各地には、伝統的な仏具の産地があり、京仏具などが有名です。これらの地域では、古くから仏具の制作技術が受け継がれ、精緻な仏具が作られています。

仏具の種類

仏具は、その用途によって様々な種類に分類できます。以下に主なものを挙げ、それぞれの役割や特徴を説明します。

儀式で使用される仏具

本尊: 仏像、仏画、曼荼羅など、信仰の中心となる仏や仏教の教えを表すものです。
仏壇: 仏像や位牌などを安置し、供養を行うための厨子状の家具です。
三具足（五具足）: 仏前にお供えする花、香、灯明を置くための基本的なセットです。
香炉: 線香や香を焚くための容器です。
燭台: ろうそくを立てるための台です。
花瓶: 生花を供えるための容器です。
経机: 経典を置くための机です。
仏飯器: ご飯などの供物を盛るための器です。
輪灯: 仏前に吊るす灯明です。
位牌: 亡くなった人の霊を祀るための板です。
過去帳: 過去に亡くなった人の名前を記した帳面です。
金剛杵: 密教で使われる法具です。
梵鐘、木魚、鈴: 読経や儀式に用いる打楽器です。
錫杖: 僧侶が用いる杖です。

装飾品としての仏具

数珠: 念仏を唱える際に用いる数珠です。
袈裟: 僧侶の衣服です。
如意: 仏教儀式で使われる装飾品で、持ち手部分に装飾が施されている。
竹箆: 元々は仏教指導で使われた竹の棒でしたが、体罰の問題から現在は装飾品として用いられることが多いです。

その他の仏具

坐蒲: 座禅をする際に用いる座布団です。
マニ車: チベット仏教で用いられる回転式の筒状の仏具です。
供物皿: お供え物を盛るための皿です。
警策: 座禅中に眠気を覚ますために用いる拍子木です。

仏具と地域文化

仏具は、単なる宗教道具にとどまらず、それぞれの地域独特の文化や伝統技術が反映されています。京仏具をはじめ、各地には伝統的な仏具の産地があり、それぞれの地域で特色ある仏具が製作されています。これらの仏具は、仏教信仰だけでなく、日本の文化遺産としても重要な存在です。

参考文献

鎌倉新書編　『寺院用仏具事典』　鎌倉新書、2003年
権田雷斧　『真言密教法具便覧』　八幡書店、2010年
* 真宗大谷派教師養成のための教科書 編『真宗の儀式－声明作法－』真宗大谷派宗務所出版部、1998年

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