石室

石室とは

石室とは、古墳の墳丘内に構築された、石で作られた埋葬施設のことです。遺体を納める棺を直接覆う槨（かく）とは区別されます。

石室の種類

石室は大きく分けて、上部が開いている竪穴式石室と、横から出入りできる横穴式石室の2種類があります。

竪穴式石室
古墳時代初期に多く見られます。
基本的には一度限りの埋葬を目的としています。
棺の周囲に石を積み上げ、その上に天井石を置いて閉鎖します。
構造上、追葬は困難です。

横穴式石室
竪穴式石室に対して、後から追葬が可能な構造です。
古墳時代中期から後期にかけて主流となりました。
石室の側面に開口部を設け、そこから出入りします。

竪穴式石室から横穴式石室への変遷

古墳時代初期には、竪穴式石室が主流でしたが、時代が進むにつれて横穴式石室へと変化していきます。

竪穴系横口式石室
古墳時代初期末頃、北九州地方で現れたとされます。
竪穴式石室の短辺に入口と通路を設け、追葬を可能にした構造です。
横穴式石室への移行期に見られる形態です。

石棺式石室・横口式石槨
古墳時代後期・終末期に現れます。
石棺や石棺状の施設に出入り口を設けたものです。
より複雑な構造を持ち、被葬者の権威を示すものと考えられています。

石室の構築方法

石室の構築方法には、様々なものがあります。

割石小口積み
割った石をそのまま積み上げる方法です。
比較的簡単な方法で、初期の石室に多く見られます。

切石積み
石を加工して、隙間なく積み上げる方法です。
より高度な技術を要し、後期以降の石室に多く見られます。

まとめ

石室は、古墳の重要な構成要素であり、その構造や形式は時代や地域によって多様な変化を見せています。石室の研究は、当時の埋葬文化や社会構造を解明する上で、欠かせないものとなっています。

参考文献

杉山晋作「石室」/江坂輝彌・芹沢長介・坂詰秀一編『新日本考古学小辞典』ニュー・サイエンス社 2005年 ISBN 4-8216-0511-2
白石太一郎「石室」/田中琢・佐原真編『日本考古学事典』三省堂　2003年　ISBN 978-4-385-15835-8
永原慶二監修　石上英一他編集『岩波　日本史辞典』岩波書店　1999年　ISBN 978-4-00-080093-8

関連項目

* 古墳

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