驟雪

驟雪：突然やってきて、突然消える雪

驟雪とは、積雲や積乱雲から降る雪のことです。これらの雲は、大気が不安定な状況で発生し、上昇気流によって垂直方向に発達します。そのため、水平方向への広がりが小さく、一つの雲が通過する際に降る雪は、長くても数十分程度で、すぐに止んでしまうのが特徴です。

驟雪の大きな特徴は、その降雪強度の急激な変化にあります。降り始めと降り終わりが非常に突然で、場所によっても雪の降り方が大きく異なる、散発的な降り方をするのです。そのため、短時間で止むような一過性の驟雪は「にわか雪」と呼ばれ、私たちの日常的な表現にも浸透しています。

複数の雲が連続して通過する場合は、降り出してはすぐに降り止むという状態が繰り返され、結果として強度変化の激しい雪が続くように見えます。ただし、これは連続した驟雪であり、一定時間継続して雪が降り続く状態とは異なります。

晩秋から冬の日本海側では、晴れと曇りが交互に繰り返される中で、対流性の雲から断続的に雪や雨が続く天気パターンが見られます。これは驟雪とは区別され、「時雨（しぐれ）」や「雪時雨」と呼ばれています。驟雪は、時間的なまとまりが少なく、空間的な広がりも限定的な降雪であるのに対し、時雨は時間的にも空間的にも広がりを持つ降雪現象です。

特に冬の日本海側、北陸地方などで見られる驟雪は、雷や霰（あられ）、雹（ひょう）を伴うこともあります。これは、積乱雲が発達し、激しい上昇気流によって氷の粒が成長することで発生します。これらの現象は、驟雪の激しい性質をさらに際立たせる要因となっています。

天気予報においては、特に音声で伝える際には「驟雪」という言葉はあまり使われず、「にわか雪」と言い換えられることが多いです。これは、一般の人々にとって「にわか雪」の方が分かりやすく、理解しやすい表現であるためです。

驟雪の観測と記録

国際気象通報式では、観測時に降っているか止まっているか、雨や霙（みぞれ）、霰、雹を伴うか、雷を伴うか、雪や雷の強度などを組み合わせて、天気の種類を報告します。驟雪は、雪の記号と驟雨性の記号を組み合わせた記号で表されます。

一方、日本のラジオ気象通報などでは、観測時に驟雪が降っている場合、天気を「にわか雪」として報告します。天気記号は「ニ」を使用します。ただし、霰や雹、雷を伴う場合は、それらを優先して報告します。航空気象の通報では、「特性」の欄に驟雨性を表す記号「SH」、「降水現象」の欄に雪を表す記号「SN」を使用します。

このように、驟雪は様々な気象観測において、その特徴を捉えて記録され、予報に役立てられています。その短い時間の中で激しい変化を見せる驟雪の特性を理解することは、天気予報の精度向上や、私たちの安全な生活に役立つ重要な要素となっています。

驟雪と類似した現象

驟雪は、短時間に激しく雪が降る現象ですが、他の気象現象と混同される場合があります。例えば、驟雨は雨の場合の現象であり、風花は雪が舞い上がる現象で、降雪強度が弱い点が異なります。また、時雨は、一定時間継続して雪や雨が断続的に降る現象であり、驟雪のように短時間で終わるものではありません。これらの現象を区別することで、より正確な天気把握が可能になります。

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