骨董夜話

骨董夜話（こっとう やわ）

『骨董夜話』は、日本を代表する著名人たちが骨董品に対する情熱や魅力をつづった随筆の集まりです。この作品は、1970年から1978年までの約8年間にわたり、平凡社の月刊誌『太陽』に連載されていました。著名な骨董愛好家たちが、一人ひとりの視点で自らの骨董にまつわる思い出やエピソードを語り、読者にその魅力を伝えました。

概要

連載は1970年8月に始まり、1978年6月までに全90回が発表されました。執筆には、白洲正子、青柳瑞穂、八代目坂東三津五郎、土門拳、平山郁夫、谷川徹三、加藤楸邨、入江泰吉、益田義信、奈良本辰也、藤枝静男、北沢彪、森本孝順の14人が参加しました。編集は当時20代の筒井泰彦が担当し、掲載される骨董品はカラー写真と共に紹介され、視覚的にも楽しめる内容になっています。

1975年には、これまでの連載分から48回分をまとめた単行本が出版され、山岡茂が装丁を担当しました。この単行本は好評を博し、発売から3ヶ月後には重版もされています。しかし、1980年代には絶版状態に陥りました。その後、1991年には普及版として再版されましたが、現在は再び絶版となっています。それでも本書は、骨董愛好家の間では名著として広く語られています。

記事と著者

『骨董夜話』で取り上げられた記事は、各著者の専門分野や興味に基づいて構成され、個々の視点が色濃く反映されています。例えば、白洲正子は「狂言面・乙」や「茶碗・天啓赤絵」といった作品を通じて、自身の骨董に対する深い愛情を表現しました。また、青柳瑞穂は「玉堂の花」や「水滴のおじいさん」などを題材とし、彼の独自の感性を発揮しました。

それぞれの著者が、特定の骨董品を通して物語を語るスタイルは、読む人々に対して親しみを感じさせる魅力があります。また、各著者の記事は、初出時のタイトルと単行本では一部異なる点も見受けられ、それにより編集者による意図や読者への配慮も感じられます。

出版記録と影響

『骨董夜話』は、月刊誌『太陽』での連載後、いくつかの関連書籍にも収録され、その範囲は広がっています。1979年には奈良本辰也の著書『骨董入門』や、益田義信の『さよなら巴里』にも執筆分が含まれるなど、他の出版物との関連性も築かれました。

出版から数十年が経過した今でも、『骨董夜話』は多くの骨董愛好家にとって読まれる一冊であり、その考察やエピソードは、今日の骨董に関する理解をより深めるための重要な資源となっています。書中で紹介された骨董品の数々は、当時の文化や技術に触れる貴重な手がかりを提供し、歴史と現代をつなぐ架け橋としての役割を果たしています。

このように、著名な著者たちが骨董を題材とした深く印象的なエッセイを通じて、現代においてもその価値が損なわれない『骨董夜話』。骨董に興味のある方はもちろん、文化や歴史に触れたいと考える人々にも広く勧められる一冊です。

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