高三郎山

高三郎山（たかさぶろうやま）

石川県金沢市南部に位置する高三郎山は、標高1,445mの天ノ又ノ頭（てんのまたのかしら）と、三角点が設置された狭義の高三郎山（標高1,421.43m）を包括する山です。犀川ダムの南方、旧倉谷集落の南東約5kmに位置し、金沢市街地からその美しい姿を眺めることができます。犀川の本流二又（ふたまた）川と支流倉谷（くらたに）川の分水嶺にあたり、特に残雪期には多くの登山客で賑わいます。

自然

5月頃には、カタクリやホンシャクナゲなどの群落が見られ、登山道沿いを彩ります。山中にはミズナラやブナなどの灌木が多く、三角点付近は刈り込まれているものの、必ずしも眺望に恵まれているとは言えません。しかし、木々の間からは、大門山、見越山、白山、そして金沢市街地を望むことができます。

歴史的な呼称

高三郎山の呼称は古く、天保元年（1830年）頃成立したとされる『加能越三州地理志稿』には、見越山、禰都山と共に「倉谷三方山」として記載されています。また、天保11年の『加越能三州細密絵図』では、見越山、子ス山、高三郎山を合わせて「倉谷三峰」と呼んでいます。明治初期の『皇国地誌』では、高三郎山、禰都山、見越山を「三峯嶽」と呼んでいます。これらの古い文献に登場する見越山、禰都山（子ス山）が現在のどの山を指すかは断定できませんが、高三郎山周辺の山々を包括的に捉えた呼称として使用されていたことが伺えます。

登山道

現在の主な登山道は、犀川ダムを起点とし、ダム湖東岸沿いの道を進み、倉谷川沿いに進んで旧倉谷集落跡に至ります。その後は、川沿いの道が一部通行困難なため、迂回しながら慎重に進む必要があります。登山口からは、ナガ尾根からクラコシ尾根を登る新道と、シャクナゲ尾根（広坂尾根）を登る旧道の2ルートがありますが、旧道は整備されておらず、廃道状態のため、一般的には新道を利用します。旧倉谷集落との標高差が1,000m以上あり、急登や痩せ尾根が続くため、登りには約4時間を要する中級から上級者向けの山と言えるでしょう。2008年5月からは、金沢大学ワンダーフォーゲル部OB会による自主整備が行われています。

明治初期の『皇国地誌』には、かつて二又村から西谷川（現、二又川）を遡る登山ルートがあったと記載されていますが、非常に険しい道であったと考えられます。

その他

三角点の標高は、現在の国土地理院の基準点成果によると1,421.43mですが、明治末期の測量成果では1,421.5mでした。山頂付近には、かつて「子ス山」と呼ばれた山があり、現在のホイクラ山のあたりだと考えられています。

脚注

国土地理院の1:25000地形図では「西赤尾」と表記されています。
三角点名は「高三郎」です。

関連項目

* 旧石川郡犀川村

もう一度検索