高井和伸

高井和伸氏は、1940年12月13日に生まれた日本の元政治家、そして弁護士です。愛知県名古屋市で生を受けましたが、少年時代から青年期にかけては岐阜県久々野町（現在の高山市の一部）で過ごし、その地で育ちました。彼の歩んだ道は、公務員、法律家、そして国会議員と非常に多岐にわたります。

教育を受けたのは岐阜県立斐太高等学校で、卒業後、社会人としての第一歩を名古屋中央郵便局で踏み出しました。郵便局に勤務する傍ら、学業にも励み、愛知大学法経学部二部を卒業しました。さらに郵政大学校本科などで専門的な研鑽を積み、1969年に郵政省へ入省し、公務員としてのキャリアを積みました。

郵政省での勤務経験を活かしつつ、法律の道に深く関心を持ち、1974年には難関として知られる司法試験に見事合格しました。合格後、法曹界の一員となるべく司法修習生として必要な研修を修了し、1976年に第29期として司法修習を終えました。裁判官としての経験も積み、高知地方裁判所や浦和家庭裁判所などで判事補を務めました。

裁判官として数年間務めた後、新たな道を求め、弁護士として活動することを決意しました。1981年には、自らの名を冠した高井和伸弁護士事務所を開設し、開業弁護士として本格的に活動を開始しました。弁護士登録は東京弁護士会にて行っています。

弁護士活動を通じて、社会や政治への関心を深めた高井氏は、政界への進出を目指しました。1989年に行われた第15回参議院議員通常選挙において、労働組合などが支持する政治団体「連合の会」の公認候補として、地縁のある岐阜県選挙区から立候補しました。長年の経験と実績が評価され、この選挙で見事に初当選を果たし、参議院議員となりました。参議院議員としては、一期目の任期途中で退任しています。

参議院議員を退任した後、今度は衆議院への鞍替えを試みました。1993年の第43回衆議院議員総選挙では、結党間もない日本新党の公認候補として岐阜県第2区から出馬しましたが、残念ながら当選には至りませんでした。その後も政治への意欲は衰えず、1996年の第41回衆議院議員総選挙にも挑戦しました。この時は新進党の公認候補として岐阜県第4区より立候補しましたが、再び議席を獲得することはできませんでした。度重なる国政選挙への挑戦の結果を受け、1996年の衆議院選挙後に、政治家としての活動から身を引くことを表明し、引退しました。

高井和伸氏は、郵便局員から郵政官僚、そして裁判官を経て弁護士となり、さらには国会議員を務めるという、非常に多様で異色のキャリアを歩んだ人物です。彼の政治活動や選挙に関する詳細は、当時の選挙記録や、日外アソシエーツによる『新訂 現代政治家人名事典』や『国政選挙総覧』といった信頼できる文献に詳しい記述が残されています。これらの文献は、彼の公的な経歴を知る上で重要な情報源となります。

もう一度検索