高堂国典

高堂国典（こうどう くにのり）

高堂国典（1887年1月29日 - 1960年1月22日）は、日本の優れた俳優で、本名は谷川佐市郎。彼は一時期、高堂黒天という芸名で知られ、「こくてん」という通り名でも親しまれていました。日本の映画史に名を刻む存在であり、その演技力は現在でも評価されています。

来歴

兵庫県高砂市で生まれた高堂は、関西学院中学部を中退後、1901年に新派の村田正雄のもとに弟子入りし、大阪の横井座で初舞台を踏みました。その後、彼は地方を巡業し、演技の技術を磨いていきました。1923年に帝国キネマ小阪撮影所に加わり、本格的に映画俳優としてのキャリアが始まります。初期の作品には『呪いの船』や『復讐鬼』、『星は乱れ飛ぶ』などがあります。

1926年には帝国キネマの内紛を経てアシヤ映画製作所に移籍し、さらには第一線映画聯盟に参加し、『恐しき邂逅』などに出演しました。その後、彼は市川右太衛門プロダクションにも加わり、さまざまな映画に脇役として登場します。「旗本退屈男」シリーズでも知られており、特に「雪之丞変化」の土部三斎役は敵役としての代表作とされています。1936年には松竹下賀茂撮影所に移籍し、1939年には東宝に転籍します。

戦後も活躍し続け、多くの作品に出演しましたが、1960年に72歳で逝去しました。彼の最後の作品は『暗黒街の顔役』でした。

人物

高堂は撮影所で「こくてんさん」と呼ばれていましたが、しばしば「くにのり」と返答していたと言われています。この彼の返答は、彼特有のユーモアと気さくさを反映しています。俳優の土屋嘉男は、高堂と親しかったようで、彼が「養子になってほしい」と頼まれたエピソードを語っています。この背景には彼が戦争で息子を失っていたことが影響していたとも考えられます。

趣味として鮎釣りを愛し、多摩川に足しげく通っていましたが、ある時、増水した川に飲まれてしまったこともあるそうです。土屋はこのエピソードから、高堂の威勢の良さとは裏腹に、寂しい一面を感じ取ったと述べています。高堂はその演技方法において、オーバーアクションが特徴であり、セリフのない場面でも独特の表現をすることで知られていました。

1936年には、「日本映画人禁酒聯盟」を結成し、会長に就任。しかし、この団体は長続きせず、3ヶ月で解散となりました。高堂の其中の行動は、当時の映画界の雰囲気を反映しているとも言えるでしょう。彼自身の個性が多くの映画ファンや俳優に影響を与え、彼は日本映画における重要な存在として記憶されています。

高堂国典の生涯は、彼の演技だけでなく、彼の人間性や周囲との関係においても豊かでした。彼の影響は今もなお、日本映画界に息づいています。

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