高塚愛宕地蔵尊

高塚愛宕地蔵尊について

高塚愛宕地蔵尊（たかつかあたごじぞうそん）は、大分県日田市天瀬町馬原に位置する宗教法人であり、特に地蔵信仰の重要な拠点として知られています。この地蔵尊は、神仏混淆の独特な信仰形態を保持しており、地蔵菩薩が本尊でありながら、境内には鳥居が設けられています。鐘や鈴と共に、天照大神の摂社も存在し、多様な信仰のシンボルとして機能しています。

地元では親しみを込めて「高塚さん」とも呼ばれ、初めは乳の出を良くする地蔵として信仰を集めていましたが、次第に病気の回復、学業の成功、商売の繁栄など、様々な願いの実現に御利益があると広まっていきました。このため、年間参拝客は200万人を超え、多くの人々に愛され続けています。境内には、著名なアスリートである谷亮子（田村亮子）が奉納した地蔵もあり、訪れる人々の心をつかんでいます。

由来と伝承

高塚愛宕地蔵尊の起源は、天平12年（740年）に遡ります。この年、聖武天皇の命を受けた僧侶の行基が筑紫の国を巡り、この地に立ち寄りました。行基は地蔵菩薩の御利益を祈願し、宿泊先の求来里村杉原から馬原村の八幡宮へと立ち寄った後、高塚に至りました。ある夜、彼は東南の空に輝く金色の光を目撃し、自分の祈りが地蔵菩薩に届いた印だと信じ、さらに細心の思いで祈りを続けました。

その夜、従者が光の正体を探るためにイチョウの木に登ると、三つの宝珠を発見しましたが、一つは乳房の形をしたものでした。行基はこの霊物に対して祈りを捧げ、翌日再び木に登ると、珍しい形の宝珠が残っていました。彼はそれを天高く投げ上げ、幸福をもたらす象徴として祈願しました。これが高塚愛宕地蔵尊が呼びかける功徳の始まりとされており、その後、行基は一体の地蔵菩薩の木像を彫り、地元の人々に祈願の重要性を説いたと言われています。

天暦6年（952年）には、信者たちがこのイチョウの木の近くに小さな堂を建て、行基が彫った地蔵菩薩を祀ったことによって、高塚愛宕地蔵尊が正式に設立されました。このイチョウの木は「乳銀杏」という名でも親しまれ、子宝や乳の出を促す霊木として多くの信仰を集めました。現在この木は、樹齢1300年以上を誇る巨木となり、大分県の天然記念物に指定されています。

境内の構成

高塚愛宕地蔵尊の境内には、以下のような施設が整備されています：

• - 拝殿
• - 神殿
• - 社務所
• - 東屋
• - 神楽殿
• - 焼香堂
• - 鐘堂
• - 手水舎
• - 霊水
• - おかかえ地蔵（小型の地蔵を抱え、願いを込める場所）
• - 一念堂（地蔵菩薩の化身である閻魔大王と六地蔵を祀るトンネル）
• - 奉納地蔵（信者による2000体以上の地蔵が安置されています）

これらの施設は、参拝客が癒やしや願い事を求めるために利用されています。

アクセス

高塚愛宕地蔵尊へのアクセスは、日田バスの「高塚」停留所から、JR九州久大本線の日田駅よりバスで約30分、豊後中川駅からは約10分です。また、高速バス「ゆふいん号」が天瀬高塚インターチェンジ近くのバスストップに停車し、徒歩10分ほどで到着します。自動車利用の場合、大分自動車道の天瀬高塚インターチェンジを利用すると便利です。

高塚愛宕地蔵尊は、歴史と信仰が交差する場所として、訪れる人々に深い感動を与え続けています。

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