高宗 (朝鮮)

高宗の生涯とその影響

高宗（こうそう、1852年 - 1919年）は、李氏朝鮮の第26代国王であり、後に大韓帝国の初代皇帝として知られています。彼の本名は李㷩（イ・ヒ）ですが、様々な名で親しまれており、即位時の年号から「光武皇帝」とも呼ばれます。

高宗は、先代の哲宗が夭折した後に、11歳で即位を果たしました。彼の即位にあたり、実権は彼の父親である興宣大院君に委ねられました。この時期、朝鮮は政治的に不安定な状況にあり、安東金氏などが政権を掌握し、勢道政治が行われていました。そのため、高宗の治世は多くの政治的対立や改革要求に影響されました。

即位と最初の政権

高宗が即位した1863年当時、朝鮮には直系の世継ぎ候補がおらず、傍系から王位を継承する必要がありました。このため、母親の神貞王后が興宣大院君と共謀し、高宗を即位させたのです。最初の2年間は、神貞王后が実権を握り、その後興宣大院君が権力を掌握しました。

興宣大院君は国内改革に着手しましたが、西洋列強に対する鎖国政策を取り、外交的孤立を深めました。特に、カトリック信者の弾圧や、フランスやアメリカとの摩擦が生じ、朝鮮の国際的地位をさらに危うくしました。

閔妃と政権の移行

1866年に高宗の正妃である閔妃（明成皇后）が王宮に入ると、政治の主導権は次第に閔氏一族に移ります。彼女は強い意志を持った人物であり、閔妃とその一族が権力を握ることで、開国政策が推進され、外圧にたいする対策が模索されました。1876年には日本との日朝修好条規が締結され、その後もアメリカやロシアとの通商条約が相次いで結ばれました。

しかし、高宗の治世は、開化派と守旧派の対立に苦しむことになります。特に、1882年の壬午事変では閔妃派と旧式軍隊の対立が激化し、混乱が生じました。この事件後、大院君が復権し、一時的に政権を取り戻しますが、閔妃と清への依存政策が強まり、国を危機的な局面に立たせました。

国際情勢と大韓帝国の設立

近代化が求められる中、1894年に始まった甲午農民戦争は国内の混乱を更に悪化させます。この戦争がきっかけで日清戦争が勃発し、日本が勝利を収めることになります。結果的に、1897年に高宗は大韓帝国の皇帝に即位し、国号を改めます。彼は王権拡大を図り、専制政治へと戻る動きを見せましたが、国内外の状況はさらに厳しくなっていくのです。

韓国併合とその後

高宗は日本との関係悪化の中で様々な外交戦術を試みますが、1905年に第二次日韓協約が結ばれたことで韓国は日本の保護国となります。その後、1910年には正式に併合が実施され、高宗は「徳寿宮李太王」という名称を与えられました。

高宗は1919年に亡くなりましたが、死後に流れた毒殺説や三・一運動の影響が彼の存在感を強く印象づけています。彼の治世は、朝鮮から大韓帝国の誕生までの複雑な歴史の中で重要な位置を占めており、その政治的動向は多くの議論を呼び続けているのです。

高宗の生涯は、朝鮮半島の歴史において重要な時期を象徴しており、彼の行動や政策は、当時の国内外の状況に深く影響を及ぼしました。

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