高密度ポリエチレン

高密度ポリエチレン（HDPE）について

高密度ポリエチレン（HDPE）は、エチレンの繰り返し単位が直鎖状に結合した結晶性の熱可塑性樹脂です。他のポリエチレンと比べて硬く、特に硬質ポリエチレンとして知られています。また、その製造方法から中低圧法ポリエチレンとも呼ばれています。HDPEは、JIS K6748の規定において密度が0.942以上のポリエチレンとして定義されています。樹脂識別コードは2です。

HDPEの特性

密度と平均分子量

HDPEの特性は、主に密度と平均分子量によって決まります。高い結晶化度を持つHDPEは通常硬さが増しますが、硬すぎると脆くもなります。そのため、HDPEには単一重合体であるホモポリマーだけでなく、1-ブテンなどのα‐オレフィンと共重合し、短い分岐を持たせたコポリマーも広く流通しています。これらのコポリマーは、一般にエチレンモノマーに対して1〜5の分岐を持ち、分岐数が増えることで密度が下がります。

HDPEの平均分子量は材料の物性や流動性に影響を与えます。この性質はメルトフローインデックス（MFR）で示され、一般的に平均分子量が高いほどMFRは低下します。MFRが高いほど射出成形に適し、低いほど押出成形や中空成形に適しているため、用途によってさまざまなグレードが設計されています。

製法

HDPEは石油を秘密のナフサからエチレンを生成し、ラジカル重合によって製造されます。具体的には、低圧法（チーグラー法）または中圧法で重合されます。

低圧法

この製法では、トリエチルアルミニウムと四塩化チタンの複合体を触媒として使用し、適切な温度と圧力で重合が行われます。生成されたスラリーは洗浄・乾燥を経てHDPEとなります。新たに開発されたメタロセン触媒を用いた方法もあり、これにより物性が向上しました。この触媒によるHDPEはm-HDPEと呼ばれています。

中圧法

この方法ではシリカ-アルミナや六価クロムを触媒として使用し、適切な環境条件で重合されます。フィリップス法やスタンダード法などの種類があり、効率的にHDPEを製造することができます。

特性

HDPEの比重は0.942以上であり、優れた堅牢性を持ち、引っ張り強度や耐衝撃性に優れています。特に耐衝撃性においてはポリカーボネートを超えることもあります。温度に対する耐性にも優れ、-80℃の低温でも性能が低下しません。耐水性や耐薬品性も高いですが、石油系溶剤には注意が必要です。

用途

HDPEの応用範囲は広く、日用品や包装容器、さらには産業資材でも利用されています。具体的には射出成形品として様々な容器や家庭用品、押出成形品ではショッピングバッグやパイプ類があり、また中空成形品では化粧品ボトルやポリタンクなどに使われます。特に押出成形品が多量に用いられています。

歴史

HDPEは1952年にドイツで初めて工業化され、以来、家庭用品や包装材料として急速に普及しました。1957年には日本国内でもその利便性が認識され、ポリバケツの製造が始まり、HDPEへの需要が高まりました。産業資材への応用が進み、特にビールクレートなどの容器に強い需要が見込まれました。こうした需要を受け、HDPEの生産量は増加の一途を辿っています。

結論

高密度ポリエチレン（HDPE）は、その優れた物性や多様な用途により、現在でも広く利用されている重要な材料です。様々な業界での応用が進展しており、今後もその可能性はさらに広がるでしょう。

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