高密郡

高密郡（こうみつ-ぐん）

高密郡は、中国にかつて存在した郡であり、おおよそ南北朝時代から唐代にかけて、現在の山東省濰坊市一帯に設置されていました。

歴史

その起源は秦代に置かれた膠西郡に遡ります。前漢の初期には斉国に属していました。紀元前164年（文帝16年）に劉卬が膠西王となると、膠西国が置かれました。しかし、紀元前108年（元封3年）に膠西王劉端が亡くなり、後継者がいなかったため、膠西国は廃止され、膠西郡と改称されました。紀元前73年（本始元年）には、広陵王劉胥の末子である劉弘が高密王となり、膠西郡は廃止され、高密国が立てられました。当時の高密国は青州に属し、高密・昌安・石泉・夷安・成郷の5県を管轄していました。

37年（後漢の建武13年）には、北海郡に編入されることとなります。

西晋の元康年間には、隴西王司馬泰が高密王に改封されたことで、再び高密国が置かれました。この時の高密国は、黔陬・壮武・淳于・昌安・高密・平昌・営陵・安丘・広・劇・臨朐の11県を管轄する広大な領域を有していました。

南朝宋の時代には、高密郡は黔陬・淳于・高密・夷安・営陵・昌安の6県を管轄していました。しかし、孝武帝の時代に北海郡に編入されることとなります。

北魏の延昌年間には、再び高密郡が立てられ、高密・夷安・黔陬・平昌・東武の5県を管轄しました。529年（永安2年）に膠州が設置されると、高密郡は膠州に属しました。

583年（開皇3年）、隋が郡制を廃止した際、高密郡も廃止され、膠州に編入されました。しかし、585年（開皇5年）には膠州が密州と改められました。607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、密州は高密郡と改称されました。この時、高密郡は諸城・郚城・安丘・膠西・高密・東莞・琅邪の7県を管轄していました。

622年（武徳5年）、唐により高密郡は密州と改められました。742年（天宝元年）には、密州が高密郡と再び改称されましたが、758年（乾元元年）には高密郡は再び密州と改称され、以降、高密郡の呼称は歴史から姿を消しました。

このように、高密郡は時代とともにその名称や管轄地域、所属する行政区画を変化させながら、中国の歴史の中に存在した郡でした。

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