高山盆地

高山盆地

高山盆地は、岐阜県高山市に位置する盆地であり、旧高山市の大部分を占めています。周囲を山々に囲まれた特異な地形が特徴です。

地理的特徴

高山盆地は、城山、東山、北山、中山といった山々に囲まれた山間盆地です。盆地内には、宮川をはじめ、川上川、大八賀川、小八賀川などの河川が流れ込んでいます。また、東には乗鞍岳、焼岳、穂高岳、槍ヶ岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳、南東には御嶽山、北西には白山といった名峰を遠望することができます。

飛騨地方は90%以上を山林が占める地域ですが、高山盆地は沖積層や更新世の第四紀層で形成されており、飛騨地方の他の地域と比較して地震に弱い地盤となっています。また、盆地としては珍しく、河川堆積物による砂礫層が非常に浅いため、沈降によって形成された盆地ではないと考えられています。地殻変動によって飛騨山脈が隆起する際に、盆地部分の上昇量が周囲よりも少なかったため、盆地状の地形になったと推測されています。そのため、「盆地でない盆地」と表現されることもあります。標高は約560mから600mと、非常に高地に位置しています。

気候

気候は内陸性気候と日本海側気候の両方の影響を受けており、昼夜や夏冬の寒暖差が大きく、湿度が低いのが特徴です。冬季は積雪が多くなります。

歴史

高山盆地には、縄文時代の遺跡が数多く発見されており、古くから人々が生活していたと考えられています。飛鳥時代までの飛騨地方の中心地は、隣接する国府盆地（現在の高山市国府町）や古川盆地（現在の飛騨市）でした。これらの地域には、飛鳥時代後期（7世紀）に創建された仏教寺院の跡が確認されています。飛騨地方で確認されている15ヶ所の飛鳥寺院のうち、12ヶ所がこの2つの盆地に集中しています。

奈良時代になると、国分寺と国分尼寺が高山に設置され、高山盆地が飛騨の中心地となりました。しかし、鎌倉時代には再び国府盆地や古川盆地が中心となり、戦国時代中期までその状態が続きました。戦国時代末期には、三木自綱が松倉城を築き、1583年頃に飛騨を統一したことで、高山盆地が再び飛騨の中心となります。その後、1585年には金森長近が豊臣秀吉の命で松倉城を攻略し、飛騨を支配しました。1600年には高山城を築城し、江戸時代には飛騨高山藩の中心地として城下町や商家町が形成されました。

1692年に金森氏が転封となると、飛騨国は天領となり、代官所である高山陣屋が置かれました。それ以降、現在に至るまで、高山盆地は飛騨地方の中心地として発展を続けています。

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