黒部五郎岳

黒部五郎岳（くろべごろうだけ）

黒部五郎岳は、富[[山県]]富[[山市]]、岐阜県飛騨市、高山市にまたがる飛騨山脈に位置する標高2,840mの山です。「黒五」という愛称でも親しまれ、日本百名山および花の百名山に選定されています。山域は中部山岳国立公園に指定されており、富[[山県]]側は特別保護地区、岐阜県側は特別地域となっています。

山容の特徴

立山連峰から続く稜線の先に、大きな圏谷（黒部五郎カール）を抱える特異な山容が特徴です。山体は花崗閃緑岩で構成されており、山頂付近は岩が積み重なった砂礫地となっています。東側が欠けた鍋のように見えることから、かつては「鍋岳」とも呼ばれていました。1909年に山岳画家の中村清太郎が登頂し、その記録が発表されたことで、「黒部五郎岳」の名が広く知られるようになりました。

山名の由来

別名として中ノ俣岳とも呼ばれ、黒部五郎岳は富[[山県]]側、中ノ俣岳は岐阜県側の古来の名称です。黒部五郎岳の「五郎」は、大きな岩がゴロゴロした場所を意味する山の用語「ゴーロ」が語源であり、「黒部」は近隣の村名に由来します。これは、近隣の野口五郎岳も同様で、黒部村の五郎岳と野口村の五郎岳として区別されました。歌手の野口五郎の芸名は、この野口五郎岳にちなんでおり、デビュー前には「黒部五郎」も芸名の候補に挙がっていたそうです。

登山について

黒部五郎岳は、飛騨山脈の奥深くに位置するため、日帰り登山は困難です。そのため、山小屋やキャンプ指定地を利用し、山中で数泊して登るのが一般的です。登山ルートは複数あり、中でも西銀座ダイヤモンドコースは比較的危険箇所が少なく、多くの登山者に利用されています。飛越新道は、当山までの最短ルートですが、体力と技術が求められます。また、立山連峰縦走時に黒部五郎岳を通過するルートも人気があります。

主な登山ルート

西銀座ダイヤモンドコース: 折立 - 太郎兵衛平 - 太郎山 - 北ノ俣岳 - 赤木岳 - 黒部五郎岳
神岡新道: 打保 - 水ノ平 - 仙人峠 - 鏡池 - 寺地山 - 北ノ俣避難小屋 - 北ノ俣岳（西銀座ダイヤモンドコースに合流）
飛越新道: 飛越トンネル - 仙人峠（神岡新道に合流）

注意点

山小屋の利用やテント泊の際は、事前に予約が必要です。
登山ルートによっては、地図読み能力やハシゴ・くさり場を通過できる身体能力が求められます。
雪渓が残る時期は、ルート選びに注意が必要です。

山小屋

山頂の東2.3km地点には、黒部五郎小舎があります。ここは、1923年に伊藤孝一によって建てられた山小屋が始まりで、その後、何度かの経営者の交代や改築を経て、現在の形になりました。収容人数は60人、テント30張で、多くの登山者を受け入れています。小屋周辺は平らで池塘が点在しており、多くの高山植物が群生しています。

周辺の山小屋

黒部五郎小舎
太郎平小屋
北ノ俣避難小屋（老朽化のため利用不可）
薬師沢小屋
雲ノ平山荘
三俣山荘
双六小屋

周辺の植物

登山道では、アオノツガザクラ、イワイチョウ、クルマユリ、コバイケイソウ、シナノキンバイ、チングルマ、ハクサンフウロなど、多くの高山植物が見られます。黒部五郎小舎周辺ではウラジロナナカマドやダケカンバ、山頂周辺ではハイマツなどが自生しています。

地理

飛騨高山付近から見える黒部五郎岳の山体は笠の形で、笠ヶ岳と並んで見えるため、笠ヶ岳と間違われることもあります。国道41号を北上すると、高山市一之宮町付近で、飛騨山脈の山々の中で最初に顔を出すのがこの山です。

源流となる河川

中ノ俣川（高原川の支流）
金木戸川の支流（常願寺川の支流）
ウマ沢、五郎沢（黒部川の支流）

これらの河川は日本海に流れています。

黒部五郎岳は、その美しい山容と豊かな自然、そして登山ルートのバリエーションから、多くの登山者を魅了し続けています。

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