飛騨高山藩

飛騨高山藩の歴史

飛騨高山藩（ひだたかやまはん）は、飛騨国（現在の岐阜県北部）を領有した藩で、高山城（現在の岐阜県高山市城山）に藩庁を置いていました。単に高山藩とも呼ばれます。

金森氏による統治

1586年、三木氏や姉小路氏ら旧飛騨国司の攻略で活躍した金森長近が、飛騨の国主として入府しました。長近は1588年から高山城の築城を開始し、1600年までに本丸と二の丸を完成させました。関ヶ原の戦いでは東軍につき、その功績により美濃国上有知（こうづち、現在の岐阜県美濃市）1万8,000石と河内国金田（かなた、現在の大阪府堺市北区金岡町）3,000石を加増され、飛騨高山藩の初代藩主となりました。

1607年に長近が亡くなると、家督と飛騨高山藩領は養子の金森可重が継ぎ、上有知藩は長近の実子である金森長光が継ぎました。3代藩主・重頼の時代には検地が行われ、藩政が確立しました。金森家の統治は6代107年間続きました。

しかし、1692年、6代藩主・金森頼旹の時代に、突如出羽国上山[[藩]]（現在の山形県上山市）への移封が命じられました。この背景には、飛騨高山の豊富な資源（金・銀・銅・木材など）に幕府が目を付けたという説と、外様大名でありながら幕府の側用人に抜擢されていた頼旹に不手際があったという説があります。いずれにせよ、この移封後、飛騨高山は幕府領となり、明治時代を迎えることになりました。

幕府領時代

幕府領となった飛騨高山には、関東郡代の伊奈忠篤が代官として兼任で入り、加賀金沢藩主の前田綱紀が高山城の在番となりました。しかし、高山城の維持が困難になった幕府は、1695年に取り壊しを決定。以降、飛騨高山代官・郡代は、金森家の下屋敷であった高山陣屋にて政務を行うようになりました（高山陣屋での在勤制の成立は1738年とする説もあります）。

1715年には森山実道が専任の代官に任命され、1777年には代官の大原紹正が飛騨一国の検地に成功した功績により、飛騨郡代に任命されました。紹正の功績は高く評価され、一代限りではありましたが、嫡子正純への郡代世襲が許されています。

飛騨郡代は役高400俵で布衣着用が許され、代官としては関東・美濃・西国筋に次ぐ第4位の序列でした。その後、白山一帯の幕府領や美濃国、加賀国、越前国に散在する幕府領の支配も任され、越前本保（現在の福井県越前市）や美濃下川辺（現在の岐阜県川辺町）に出張所が置かれました。文化2年（1805年）には10万8千石、天保9年（1838年）には11万4千石を支配しました。1858年の資料によると、郡代支配の属僚は24名、旧金森氏の遺臣などからなる世襲の地役人が49名いました。幕末の新見正功に至るまで、25人の代官が飛騨を支配しました。

高山陣屋は江戸時代の陣屋の中で唯一現存しており、保存・修復工事を経て国の史跡に指定されています。明治維新に至るまで、25代177年のうち、14代92年が飛騨郡代の支配でした。

1868年、飛騨は明治政府によって収公され、飛騨県、高山県、筑摩県を経て岐阜県に編入されました。

領地

金森長近は関ヶ原の戦いの後、美濃国上有知に領地を得ました。長良川畔には物資輸送の玄関口として上有知湊を整備し、袋坂峠を通る津保街道も整備しました。これにより、製紙業、養蚕業、林業が発展しました。上有知は、長良川下流への舟運の拠点として栄えましたが、長近の子である長光が幼くして亡くなったため、その後幕府領を経て尾張[[藩]]領となりました。

歴代藩主

金森家

長近（ながちか）
可重（よししげ）
重頼（しげより）
頼直（よりなお）
頼業（よりなり）
頼旹（よりとき）

幕府領

（1693年 - 1871年）

飛騨高山藩は、金森氏による統治から幕府領、そして明治維新へと、時代とともに大きく変化を遂げました。その歴史は、高山陣屋という貴重な遺構を通して、今も私たちの目に触れることができます。

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