高島 (大分県)

高島の魅力と歴史

高島（たかしま）は大分県の大分市佐賀関の関崎から約3.5km沖に位置する豊予海峡に浮かぶ美しい離島です。この島は、面積80ヘクタール、周囲約5.5キロメートル、最高点は148.3メートルの標高を誇ります。周囲には白滝、船間、アシカの3つの無人小島が存在し、穏やかな海と静かな自然が広がっています。さらに、この島は瀬戸内海国立公園に指定されており、美しい景観が保護されています。

自然環境と生態系

特にアシカ島は、かつてニホンアシカが多数集まっていたことに由来して名付けられ、現在ではウミネコの営巣地としても知られています。ウミネコはこの島の南限に営巣を行い、さらにビロウ樹やアコウ樹、ハマユウといった亜熱帯植物も繁栄しており、これらは大分県の天然記念物に指定されています。

毎年春から夏にかけては、ウミネコ観光周遊船が就航し、観光客に好評です。また、7月から8月には西側の海岸にキャンプ場がオープンし、自然の中での宿泊やアクティビティを楽しむことができます。観光客はこの美しい環境を楽しみながら、島の豊かな生態系を体感することができるのです。

文化的な背景

綾辻行人のデビュー作である『十角館の殺人』の舞台として、高島がモデルになっているという点でも注目されます。この小説の舞台は角島という架空の島であり、綾辻自身はこの島を訪れたことはありませんが、京大推理小説研究会でも活動した後に結婚することになる小野不由美にこの島の話を聞いたことからインスピレーションを受けています。

歴史的な変遷

高島は江戸時代までは無人島でありましたが、明治時代に入ると廃藩置県によって禄を失った12戸の武士が移住し、農業を営んでいたことが知られています。1921年から1934年にかけては、豊予海峡を通航する艦船を監視するための豊予要塞が建設され、第二次世界大戦中には利用されていました。現在でも、砲台跡や弾薬庫跡が残されるなど、当時の名残を感じられます。

終戦後の1947年には戦災孤児の収容施設が設けられましたが、1953年にその施設は廃止され、再び無人島となりました。その後、同年に豊後水道県立自然公園に指定され、1957年には瀬戸内海国立公園に編入されるなど、自然保護の重要性が認識されています。

灯台の魅力

高島の東端には1975年に設置された海獺碆灯台（あしかばえとうだい）があります。この灯台は島を訪れる船舶にとって重要な目印となっており、島全体の歴史と文化に深く根付いています。

高島はその自然環境、歴史、そして文化的背景を豊かに持つ魅力的な場所です。訪れることで、静かな時を楽しみながら、自然の美しさや歴史の深さを体感することができるでしょう。

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