高島四郎兵衛

高島四郎兵衛とは

高島四郎兵衛（たかしま しろべえ）は、江戸時代の長崎において、町年寄という重要な役職を世襲した高島家の歴代当主が名乗った名前です。高島家は、近江国高島郡高島庄の出身で、初代当主である茂春は高島氏春の子として生まれました。天正元年（1573年）に一族が離散したため、父とともに肥前国藤津郡へ逃れ、翌1574年に長崎へ移住しました。茂春は、後に町の指導者層である「頭人」の一人となり、長崎の自治に深く関わるようになりました。

高島家の歴史

初代茂春は良悦（了悦）と号し、元和8年（1622年）に亡くなりました。その子である四郎兵衛茂定は宗悦と号し、元和元年（1615年）に長崎の町年寄に就任しました。茂定は、延宝元年（1673年）に没しています。その後、高島家の当主は代々長崎の町年寄を世襲し、多くが「四郎兵衛」の名を受け継ぎました。

茂定の子である四郎兵衛茂卿は、寛永13年（1636年）に築造された出島の建設費用を出資した町人の一人です。また、島原の乱の際には長崎の警備に尽力し、その功績が認められて江戸で将軍徳川家光に拝謁し、時服2領と銀100枚を賜りました。茂卿は延宝元年（1673年）に亡くなっています。

茂卿の子である四郎兵衛茂村は、延宝4年（1676年）に長崎代官末次平蔵が密貿易の罪で流罪となった後、他の町年寄たちと共に代官職を代行しました。茂村は元禄4年（1691年）に没しています。

高島家の屋敷

高島家の本邸は、旧・大村町（現在の万才町の一部）にありましたが、天保9年（1838年）の大火（小川町大火災）で焼失しました。その広さは1024坪あったと記録されています（『長崎名家略譜』）。

幕末の砲術家との関係

幕末の砲術家として知られる高島秋帆は、この高島四郎兵衛の家系の出身です。高島家は長崎の歴史において重要な役割を果たした家柄であり、その名と功績は後世に語り継がれています。

高島四郎兵衛は、単なる個人名ではなく、長崎の歴史を語る上で欠かせない存在であり、その名には高島家の歴史と、長崎の自治を担った人々の思いが込められています。

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