高島宮

高島宮とは

高島宮（たかしまのみや、たかしまぐう）は、神武天皇が日向から大和へ東征する途上で、吉備国に設けたとされる行宮（かりみや）です。吉備高島宮、吉備高嶋宮とも呼ばれます。

日本書紀と古事記の記述

『日本書紀』によると、神武天皇（当時は彦火火出見尊）は、日向を出発し、豊後水道、筑紫、安芸を経て吉備国に到着しました。そして高島に宮を建て、3年間滞在し、その間に船舶や武器の準備、兵糧の備蓄を行いました。その後、大和へ向けて出発したとされています。

『古事記』にも同様の記述がありますが、高島宮での滞在期間を8年間としています。これらの記述から、高島宮は神武天皇の東征における重要な拠点であったと考えられます。

聖蹟伝説地

昭和13年から15年にかけて、文部省が「神武天皇聖蹟調査」を実施しました。その結果、岡山市南区宮浦の高島が「聖蹟伝説地」として認定されました。宮浦には高島神社が鎮座しており、高島宮の故跡に後世に神社が創建されたと伝えられています。この調査により、宮浦が有力な候補地として公認されることとなりました。

ただし、高島宮の故地については、岡山県内や周辺地域に複数の候補地が存在します。これらの候補地は、高島宮に関する伝承を持ち、神社が建立されています。

「高島」という名称について

「高島」という名称に含まれる「島」は、必ずしも島を意味するとは限りません。地名としての「高島」は、特定の地形や場所を示す言葉として用いられることがあります。

伝承地（論社）

高島宮の伝承地とされる神社は、岡山県を中心に複数存在します。主なものを以下に紹介します。

備前国
高島神社（岡山市南区宮浦）： 文部省によって聖蹟伝説地とされた場所で、最も有力な論社の一つです。
高島神社（岡山市中区賞田）： 宮浦の高島神社と並んで有力視されています。
産土荒神社（倉敷市児島塩生）： かつて高島神社と呼ばれていた神社です。

備中国
高島神社（笠岡市高島）： 笠岡諸島の高島に鎮座する神社です。
神島神社（笠岡市神島）： 「高島」を「コウシマ」と訓むことから、高島宮の故地として比定されています。

備後国
八幡神社（福山市田尻町）： 高島の地名を持つ場所に鎮座する神社です。
皇森神社（福山市内海町田島）： 高島宮との関連が指摘される神社です。
王太子神社（尾道市浦崎町）： 祭神が神武天皇であることから、高島宮との関連が考えられています。

関連事項

高島宮は、神武天皇の東征における重要な出来事に関連しています。

神武東征：神武天皇が日向から大和へ向かう過程で、高島宮は重要な拠点となりました。
高島（岡山市中区）：高島宮の候補地の一つであり、地名としても残っています。
高島（岡山県笠岡市）：笠岡諸島にある島で、高島神社の鎮座地です。
高島市（滋賀県）：継体天皇の父が住んでいたとされる高島宮があり、市名の由来になったという説があります。

高島宮は、古代史における重要な場所であり、神武天皇の東征を語る上で欠かせない存在です。その故地は複数の候補地がありますが、それぞれの地で大切に祀られています。

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