高崎五六

高崎五六：維新期の風雲児、薩摩藩士から明治政府の要職へ

高崎五六（たかさき ごろく、1836年4月4日-1896年5月6日）は、激動の時代を生きた薩摩藩士であり、明治政府において重要な役割を果たした官僚です。諱は友愛、仮名は猪太郎または兵部と称しました。高崎正風は、彼の従兄弟にあたります。

1836年、薩摩藩士の高崎善兵衛友道の長男として、現在の鹿児島県鹿児島市に生まれました。若き日の高崎は、安政末期に水戸藩有志と共に、井伊直弼暗殺計画に関与したと伝えられています。計画は失敗に終わりましたが、この経験は、後の彼の政治的キャリアに影響を与えた可能性があります。

文久2年（1862年）、藩命により上京した高崎は、重要な役割を果たします。薩摩藩士有馬新七らが島津久光の命令に反して伏見寺田屋に集会した際、その情報をいち早く久光に伝え、騒擾の拡大を防ぎました。これは歴史に名を残す寺田屋騒動における、彼の重要な貢献の一つです。

翌元治元年、長州征伐が始まると、高崎は西郷隆盛と協議し、朝稲兵助という変名で長州藩へと潜入しました。そこで長州藩の要人と交渉を行い、長州藩の謝罪と恭順を実現するための重要な役割を果たしました。彼の外交手腕と交渉力は、この時既に高く評価されていたことが伺えます。

明治維新後、高崎は、大久保利通に見出され、政府要職に登用されます。元老院議官や東京府知事などを歴任し、明治政府の近代化に貢献しました。明治20年（1887年）、その功績により男爵位を授与され、翌年には貴族院男爵議員に就任。明治23年（1890年）には錦鶏間祗候にも任命されています。これらの役職は、彼が政府内でいかに重要な地位を占めていたかを如実に示しています。

高崎五六の政治経歴は華々しいものですが、その内面は、歴史の記録からだけではなかなか見えてきません。しかし、寺田屋騒動における迅速な情報伝達や、長州征伐における巧みな外交交渉などから、高い洞察力と決断力、そして優れた交渉力を持った人物であったことが推測できます。

明治29年（1896年）、61歳でこの世を去りました。没日は5月6日とされていますが、5月7日とする文献もあるようです。青山霊園に眠る高崎五六の生涯は、激動の時代を駆け抜けた、一人の薩摩藩士の生き様を私たちに示しています。その功績は、維新後の日本の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。彼の功績を後世に伝えることは、日本の近代化の歴史を理解する上で非常に重要です。

【栄典】

位階：従四位（1885年）、正三位（1896年）
勲章等：勲三等旭日中綬章（1885年）、大日本帝国憲法発布記念章（1889年）、勲二等瑞宝章（1896年）

【親族】

* 子に、長男高崎安彦、三男弓彦がいます。安彦の跡は、弓彦、秀博と続きます。

高崎五六の生涯は、単なる歴史上の出来事の羅列ではなく、時代の変化の中で揺れ動きながらも、信念を持って行動した一人の人物の物語です。彼の功績と人物像を深く理解することで、明治維新とその後の日本の歩みについて、より深い理解が得られることでしょう。

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