高木宣宏:華麗なる左腕と野球人生の軌跡
高木宣宏氏は、
1963年5月20日大阪府生まれの元
プロ野球選手(
投手)です。高校時代は北陽高校で活躍し、夏の甲子園に出場。同期の吉岡優氏と共にチームの
投手陣を支え、接戦を繰り広げました。強豪校との対戦では、リリーフとして
登板。特に3回戦の名古屋電気高校戦では、のちにプロ野球界で活躍する
工藤公康氏と投げ合うも、惜しくも敗退しました。
この活躍が評価され、1981年のドラフト会議では西武ライオンズ、ヤクルトスワローズ、広島東洋カープの3球団から指名を受け、抽選の結果、広島東洋カープに入団。球界の名スカウト、木庭教氏によって見出され、当時の
古葉竹識監督の強い希望により獲得されました。細身の体格と童顔で人気を集め、「チャン」という愛称で親しまれ、女性ファンからも多くの支持を得ていました。
プロ入り後は、同期入団のエース候補、津田恒美氏よりも早くプロ初
登板を果たすという鮮やかなデビューを飾ります。1985年には、ダイナミックなワインドアップと147km/hのストレート、切れのあるカーブを武器に、先発ローテーションの一角として活躍。前半戦だけで9勝を挙げ、リーグトップの
防御率を争うなど、大活躍を見せました。この年のオールスターゲームにも出場するなど、一躍スター選手となりました。しかし、夏バテの影響で後半戦は不調に陥り、勝ち星を重ねることができませんでした。この年の阪神タイガース優勝において、高木
投手が後半戦も活躍していれば、という関係者やファンの声も多く聞かれたほどでした。
その後は左肩痛に悩まされ、1988年には任意
引退選手となり、練習生扱いを経験。1990年に一軍に復帰し中継ぎとして活躍した後、先発ローテーションに定着。4年ぶりの勝利、5年ぶりの
完封勝利を挙げ、復活を印象づけました。しかし、翌1991年には西武ライオンズへ
トレード移籍。その後も故障に苦しみ、1993年に
引退を迎えました。現役時代には、家計を助けるため実家に仕送りをしていたエピソードも有名で、その人柄も広く知られていました。
引退後は、石材会社や保険代理店で勤務するなど、野球界を離れて生活を送りました。長らく野球から距離を置いていましたが、2008年には
中日ドラゴンズの
投手コーチとしてプロ野球界に復帰。西武時代にお世話になった
森繁和氏からの要請を受けての異例の復帰となりました。2011年に落合監督の退任に伴い退団した後も、野球界に貢献し続け、2014年には学生野球資格を回復。現在も夢グループ野球塾で指導にあたっています。
高木宣宏氏の野球人生は、華々しい活躍だけでなく、故障との闘いや、野球界外での経験など、多くのドラマを含んでいます。左腕
投手として輝きを放った時代、そして
引退後も野球界に携わり続ける彼の生き様は、後世に語り継がれるべきものと言えるでしょう。彼の経験は、多くの野球ファン、そして若い世代の野球選手にとって、大きな学びとなるはずです。
主な記録
初
登板:1982年4月5日
初奪
三振:1982年4月5日
初先発
登板・初勝利・初先発勝利:1983年9月1日
初
完投勝利:1984年7月31日
初
完封勝利:1985年5月30日
オールスターゲーム出場:1回 (1985年)