高桑守史

高桑 守史について

高桑守史（たかくわ もりふみ）は1945年に生まれ、2018年4月4日に逝去した日本の民俗学者です。大東文化大学の名誉教授として知られ、本名は「守」であり、1992年に筑波大学で博士（文学）の学位を取得しました。彼の学問的な背景や業績は、日本の民俗学の分野において非常に重要な位置を占めています。

来歴

高桑は石川県松任市（現在の白山市）で生まれました。1970年に早稲田大学の第一文学部史学科を卒業後、東京教育大学大学院に進学し、民俗学における研究を深めました。1975年には修士課程を修了し、様々な教育機関で教鞭を執りました。具体的には、石川県白山自然保護センターの技師や、山口大学、国立歴史民俗博物館、筑波大学、大東文化大学などで助教授や教授として活躍しています。学問の道を進む中で、民俗学に対する深い理解と洞察を示すことができました。

業績

彼の主な研究テーマは能登半島を中心とした漁村の調査です。高桑はこれらの漁村を詳細に調査し、その類型化を試みました。特に、福田アジオが提唱した伝承母体の概念について、新たな視点を持ち込みました。従来の考え方では、地域を表す際に「人」を捨象する傾向がありましたが、高桑は人間とその集団が民俗を形成し、保持し、変革する主体であるとする「伝承主体」という概念を提案しました。この考えは、今後の民俗学研究において重要な指針となることでしょう。

著書と論文

高桑守史の著作は多岐にわたりますが、特に以下の作品が注目されています。1983年に発表した『漁村民俗論の課題』では、漁村の文化や伝承に関する問題提起を行いました。また、1994年の『日本漁民社会論考 民俗学的研究』では、漁民社会における民俗学的な視点を提供しています。

さらに、高桑は多数の共編著や論文を執筆しています。1973年には小林忠雄との共著で『能登 寄り神と海の村』を発表し、1976年には高崎裕士との共著で『渚と日本人 入浜権の背景』を出版しました。2009年には福田アジオ、古家信平、上野和男、倉石忠彦との共編による『図説日本民俗学』が刊行され、民俗学の視覚的な理解を助ける良著となりました。

高桑の論文は、民俗学界における彼の位置付けを明確に示しています。「都市民俗学:その研究動向と課題」や「沿岸漁村の変化と漁民社会の特質」というテーマについての研究があり、これらを通じて日本の民俗学の発展にも寄与しています。

まとめ

高桑守史は、日本の民俗学において重要な貢献を果たしました。彼の研究は漁村文化や伝承に関する新たな視点をもたらし、後の世代に多くの影響を与えました。彼の業績は、今後も日本の文化や民俗学の研究を進める上での礎となることでしょう。

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