高橋健三

高橋健三について

高橋健三（たかはし けんぞう、1855年10月27日 - 1898年7月22日）は、明治時代に活躍したジャーナリスト、官僚、政治家であり、その業績は日本の近代化に大きく寄与しました。彼は英吉利法律学校（現在の中央大学）の創立者の一人であり、岡倉天心と共に美術雑誌『国華』を創刊したことでも知られています。また、1883年には日本初の官報の創刊に尽力し、内閣制度発足と同時に官報局次長、後に局長に就任します。彼の別称には「自恃居士」があり、時折この名で呼ばれることもありました。

経歴

高橋は江戸に生まれました。父は元尾張藩士で書道家の高橋石斎で、後に戸田氏に仕官した後に下総国曾我野藩士となりました。明治3年（1870年）、曾我野藩の貢進生に選ばれて大学南校に入学し、法律を学びましたが、明治11年には東京大学を中退し官途に進みます。

官途に入った後は駅逓局や文部省を経て、1883年に官報局に任命され、官報の創刊に関わりました。その後、明治22年には官報局長となり、岡倉天心と共に国華社を設立し、美術誌『国華』を発行し、近代日本の美術史に名を刻みました。また、1890年にはフランスに出張し、新しい印刷機を購入し、日本の印刷技術の向上に貢献しました。

国家主義への転換

高橋は元同僚の陸羯南と共に国家主義に転じ、官報局長を辞任した後、1893年に大阪朝日新聞に入社しました。在籍中には『内地雑居論』を連載し、国家主義の観点から強い反響を呼びました。さらに、大阪朝日新聞系の雑誌『二十六世紀』の編集責任者も務めました。

明治29年（1896年）には内閣書記官長に任命されましたが、2ヶ月後に、陸の著作が原因で彼の関わる雑誌が発行禁止処分を受けるという事態が発生します。これに対し高橋は新聞紙条例の改正を求め、政府内外での激しい論争に発展しました。彼の要求は内閣の構成員によって認められ、事態は収束しましたが、翌年には進歩党が政権を離脱したため、再び辞任しました。

晩年と死

その後、大阪朝日新聞に復職したものの、明治31年（1898年）の7月に肺結核により、わずか42歳でこの世を去りました。彼の墓所は染井霊園にあります。

人物像

高橋について岡倉天心の子である一雄は、彼が「小柄ではあるものの、瞳が非凡な光を放っていた」と語り、高橋の妻もまた、その慧眼と漢学の素養を持った女性であったと称賛しています。彼女は「清迎会」という日本風の婦人団体に関与し、日本の女性文化の発展にも必要不可欠な存在でした。

栄典

高橋は1896年に正五位に叙され、その業績が評価されています。彼の豊かな業績は、明治期の日本におけるジャーナリズムや政治に多くの影響を与え続けています。

高橋健三は、明治時代の多くの重要な出来事に関わり、彼の名は今も日本の歴史の中で語り継がれています。

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