高橋内閣

高橋内閣について

高橋内閣（たかはしないかく）は、1921年11月13日から1922年6月12日まで存続した日本の内閣です。高橋是清は貴族院議員であり、子爵でもありました。この内閣は、首相原敬の暗殺を受けて、前内閣の閣僚をそのまま再任して発足したため、「居抜き内閣」として知られています。

内閣の発足背景

1921年11月4日、原敬首相が暗殺され、その翌日には原内閣が総辞職しました。次の首相を選ぶために元老会議が開催され、山縣有朋、松方正義、西園寺公望の三元老が招集されました。最初は西園寺からの推薦がありましたが、暗殺の影響で現職首相による政変の懸念が強まりました。結果、高橋是清が新たな首相に選ばれ、11月13日に内閣が発足しました。

内閣のメンバーは、前内閣の閣僚が再任され、高橋自身も蔵相を兼ねる形でスタートしたことから、内閣の初期段階では政策が継続して行われました。高橋は政友会の総裁としても指定されましたが、党内の結束は原敬の急死により揺らぎました。

主な政策と活動

高橋内閣の政策の多くは、前内閣における施策の続行でしたが、その中でも特に注目されるのが宮中問題でした。大正天皇が病床にあったため、皇太子裕仁親王（後の昭和天皇）が摂政となり、大正天皇の崩御までその地位を担いました。

また、高橋内閣では「大学昇格運動」が進められ、特に五校の大学昇格が注目を集めました。この内閣は、内閣発足から約半年の1922年3月には閣内での権力争いが顕在化し、改造派と非改造派の対立が激化しました。この対立は最終的に、6月6日の閣議で解決を見ず、高橋内閣は総辞職に至りました。

政治的環境とその影響

高橋内閣は短命に終わりましたが、その背景には政権内部のガバナンスの不安定さがありました。特に、党内のリーダーシップを失った政友会は、総辞職後に政権の移譲を巡る動きが相次ぎました。野党である憲政会は加藤高明を次の首相に期待していましたが、未だ政治的に不安定な状況にありました。

政友会と憲政会の力関係は複雑であり、特に原敬の急死が政友会にとって大きな打撃でした。加藤海相が疑念され、首相候補としては不適格と見なされる事例もありました。最終的に、加藤友三郎内閣が組織され、この流れは政治的な不満を募らせ、第二次護憲運動へとつながっていきます。

高橋内閣は、その短い期間の中でも日本政治の重要な変遷を体現しており、また続く政変や改革の道筋をつくる一助となりました。

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