高橋重賢

高橋重賢

高橋重賢（たかはし しげかた）は、江戸時代後期の幕臣であり、旗本。通称は三平、号は竹里。蝦夷地における前期幕領時代に箱館奉行支配吟味役として10年以上にわたり活躍し、ゴローニン事件では日本側の代表としてピョートル・リコルドとの交渉にあたりました。その後、佐渡奉行、松前奉行、長崎奉行などを歴任し、長崎奉行時代にはシーボルトに協力し、鳴滝塾の開設を許可するなど、文化・外交面でも貢献しました。

生涯

宝暦8年（1758年）に、普請役・勘定などを務めた高橋方政の長男として生まれました。寛政9年（1797年）に勘定に取り立てられ、寛政11年（1799年）に東蝦夷地が仮上知されると蝦夷地御用を命じられ、羽州酒田仕入物御用取扱を担当。この頃、高田屋嘉兵衛と知り合います。同年12月に家督を相続しました。

享和2年（1802年）に箱館奉行（後に松前奉行へ改称）が設置されると、吟味役となります。文化4年（1807年）に西蝦夷地が上知され松前藩が転封となると、松前藩からの領地引渡しに立ち会いました。文化10年（1813年）には、ゴローニン事件の解決に尽力。長期間にわたり吟味役を務めましたが、当時の記録には、高橋が奉行を飾り物にし、恣意的に振る舞っていたと記述されているものも存在します。

文化11年（1814年）に西丸御納戸頭、文政元年（1818年）に佐渡奉行、文政3年（1820年）に松前奉行を歴任。松前奉行在任中の文政4年（1821年）に松前藩が蝦夷地に復領します。文政5年（1822年）には長崎奉行に就任。文政9年（1826年）にオランダ商館長ステュルレルが将軍に謁見後、重賢に日蘭貿易に関する嘆願書を直接提出する事件が発生し、責任を問われ長崎奉行を罷免されます。その後、天保4年（1833年）に日光奉行となりますが、同年8月に在職中に死去しました。享年76。

ゴローニン事件への関与

文化10年（1813年）に高田屋嘉兵衛がリコルドとともにカムチャツカから国後島に帰還すると、捕虜のシモーノフとアレキセイを連れて国後島へ向かい、リコルドにゴローニン解放の条件として釈明書の提出を要求しました。リコルドが釈明書を入手して箱館に来航した際には、日本側代表として対応し、ゴローニンの引渡しを実現させました。この功績により金2枚を賜っています。

ゴローニンの離日時には、国境画定に関する交渉の申し出があり、幕府は択捉島までを日本領、シモシリ島までをロシア領とし、中間の島を中立地帯とする案を立て、重賢を択捉島へ派遣しました。しかし、ロシア船はすでに去った後であり、国境画定は幕末まで持ち越されることとなりました。

シーボルトへの協力

文政6年（1823年）にシーボルトが来日すると、長崎奉行であった重賢は、日本人がシーボルトに学ぶことを許可し、鳴滝塾の開設を認めました。しかし、シーボルト事件が発生すると、その責任を問われ差控を申し渡されることとなりました。

登場作品

ノンフィクション
ヴァーシリー・ゴローニン『日本幽囚記』
小説
司馬遼太郎『菜の花の沖』
* 吉村昭『間宮林蔵』

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