高澄

高澄（こう ちょう）

高澄（521年 - 549年）は、中国南北朝時代の東魏の権臣。北斉の初代皇帝である高洋の兄としても知られています。

生涯

高澄は、東魏の実力者であった高歓とその正妻である婁昭君の長男として生まれました。幼い頃から聡明で、容姿も優れていたと伝えられています。高歓の後継者として早くから頭角を現し、政治手腕を発揮しました。

531年に渤海王世子に立てられ、その後、尚書令や大行台といった要職を歴任し、国政の中枢を担いました。父である高歓の死後、その地位を継承し、東魏の実質的な支配者となりました。

高澄の政治手腕は高く評価される一方で、その性格は苛烈であったとされています。権力掌握のためには手段を選ばず、反対勢力を徹底的に排除しました。特に、傀儡であった孝静帝との関係は悪化し、皇帝を侮辱するなどの行為に及んだと伝えられています。

549年、高澄は晋陽において、南朝梁からの亡命者である蘭京によって暗殺されました。享年29歳という若さでした。高澄の死後、弟の高洋が東魏の皇帝から禅譲を受け、北斉を建国しました。高澄は、北斉の世宗文襄皇帝として追尊されています。

人物

高澄は、その政治手腕とカリスマ性によって、東魏において絶大な権力を握りました。しかし、その苛烈な性格と強引な手法は、多くの反発を招き、暗殺という結末を迎えました。高澄の生涯は、権力闘争の激しさと、その中で生き抜くことの難しさを示していると言えるでしょう。

宗室

妻妾
正室：馮翊長公主（文襄敬皇后）
別室：元玉儀（琅邪公主）
側室：李昌儀、宋氏、王氏、陳氏、燕氏、蠕蠕公主（柔然の郁久閭阿那瓌の娘）

男子
河南王 高孝瑜（537年 - 563年）（母は宋氏）
広寧王 高孝珩（539年以降 - 577年）（母は王氏）
蘭陵王 高長恭（541年 - 573年）（生母不詳）
河間王 高孝琬（541年 - 566年）（母は馮翊長公主）
安徳王 高延宗（544年 - 577年）（母は陳氏）
漁陽王 高紹信（544年以降 - 577年もしくは578年）（母は燕氏）

女子
楽安公主（母は馮翊長公主）
公主（母は馮翊長公主）
公主（母は蠕蠕公主）

孫
高弘節（高孝瑜の子）
高正礼（高孝琬の子）
高某（諱と字は不詳、高長恭の子）

曾孫
高元簡（高長恭の孫、母の名は趙敬）

逸話

幼少の頃、戦乱の中で命を落としかけたことがありました。父の高歓が敵の追撃から逃れる際、幼い高澄が何度も牛車から落ちるため、高歓は高澄を射殺して捨てようとしました。しかし、婁昭君の懇願により、高澄は助けられました。

伝記史料

『北斉書』巻三 帝紀第三
『北史』巻六 斉本紀上第六

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