高瀬城

高瀬城の概要

高瀬城（たかせじょう）は、島根県出雲市の斐川町神庭に位置していた日本の山城です。この城は、米原氏によって築かれ、主に尼子氏に従属していました。高瀬城は宍道湖南岸と出雲平野を守るための重要な要所とされ、尼子十旗の一つとされることからもその重要性が窺えます。

城の構造と遺構

高瀬城は、宍道湖の南岸に立つ独特の丘陵地帯を利用して築かれています。主に三つの段からなる構造を持っており、最も高い場所にある大高瀬、次に小高瀬、そして山麓付近に位置する鉄砲立の郭が形成されています。また、大高瀬と小高瀬の間には、駄置場と称された郭群が存在し、七曲道を通じて鉄砲立にも繋がっています。

主郭は大高瀬とされているものの、土台が安定しておらず規模が小さいため、小高瀬が主郭と見なされることもあります。小高瀬には広範囲にわたって郭が連なっており、その重要性を際立たせています。城域全体には、自然の地形を巧みに利用した防御施設が多く存在し、横堀や土塁、竪土塁が複雑に組み合わさっており、守備側の巧妙な工夫や激しい戦闘の歴史を物語っています。

現在、高瀬城の跡地には登山道が整備されており、訪れる人々が容易に登城できる環境が整っています。加えて、地元の伝説には、米原氏が落城時に持ち出せなかった埋蔵金が城内に隠されているといわれています。

城の歴史

高瀬城の築城時期は明確ではありませんが、戦国時代に米原氏により建造されたと考えられています。天文元年（1532年）には、塩冶興久の乱の際に、高瀬城主の米原綱広が塩冶興久を救い出そうとしたという記録も残っています。

永禄12年（1569年）には、尼子氏の残党が挙兵し、米原綱寛がその拠点として利用しました。その後、元亀元年（1570年）に起こった布部山の戦いでは、尼子勢が逆境に立たされ、高瀬城は孤立しました。毛利輝元や元春、平田城の岡又十郎との間で、城下では激しい戦闘が繰り広げられたと言われています。

元亀2年（1571年）には、毛利輝元の指揮する毛利勢によって攻められ、高瀬城はついに落城しました。その後、吉川元春が一時期この城に入るものの、尼子の残党勢が全て一掃された後、城は廃城となったと考えられています。ちなみに、元春は父・毛利元就の訃報をこの城で受け取ったという歴史的なエピソードも残されています。

高瀬城はその独特な地形と歴史的背景から、当時の日本における重要な防衛拠点であったことが、現在においても多くの人々に語り継がれています。

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