米原綱寛

米原綱寛の生涯と戦歴

米原綱寛（よねはら つなひろ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活動した武将であり、尼子氏の家臣として著名です。彼は御手廻衆の一員として仕え、備中国の17,500石の禄を受けていました。また、尼子十旗の一つである高瀬城の城主としても知られています。

出自

米原氏の起源は、佐々木六角氏の流れを汲み、14代当主の六角定頼の甥である六角治綱が養子として近江国の米原郷を治めたことに始まります。さらに、三善湯原氏の一族からも派生したと伝わっています。なお、近江では「よねばら」ではなく「まいばら」と読まれています。

経歴

米原氏の居城である高瀬城は、出雲国原手郡の平野に位置し、周囲には大西氏の居城である大西城や三刀屋城、鳶ヶ巣城などの強固な城が存在しました。綱寛は若い頃からその容姿端麗な魅力で主君・尼子晴久に寵愛され、彼の側近として重要な役割を果たしていました。

天文9年（1540年）、綱寛は安芸国の毛利氏との戦いに参加し、吉田郡山城の戦いで戦功を挙げました。しかし、永禄3年（1560年）に晴久が急死すると、彼の死に伴い尼子氏は勢力を失い、綱寛にとっても厳しい時代へと突入します。雨漏りするような状況に、尼子義久のもとでは毛利氏の侵攻が続くこととなりました。

永禄5年（1562年）、綱寛は高瀬城の城主として出雲への攻撃を始めた毛利氏に立ち向かいました。永禄8年（1565年）の月山富田城攻めには小早川隆景の配下として参加し、使者として立原久綱と交渉を行ったとされています。その後、永禄9年（1569年）には尼子再興軍が挙兵し、その傍らで綱寛は居城高瀬城に籠城し、毛利軍と対峙しました。

元亀元年（1570年）には布部山の戦いにおいて敗走するも、高瀬城にて抵抗を続けましたが、翌年には吉川元春に対して開城し、新山城への逃避を余儀なくされます。その後、剃髪して可春斎と名乗り、隠居生活へと移行しました。

彼の子である綱俊は津和野藩士として仕官したほか、他の子孫は名前を「前原」に改め、長州藩に仕官しています。これにより、前原一誠という人物が登場することになります。また、一族の中には知井宮郷に移住し、今なお子孫が続いている家系も存在します。

その他の記録

永禄5年6月18日付けの毛利元就・隆元からの文書には、米原綱寛が亀井山城から退却する様子が記されています。彼とその配下には剛勇な者が多く、籠城戦においては外出しても戦闘を続け、毛利軍と熾烈な戦闘を展開しました。その結果、毛利軍は前線基地である狼山城を一時放棄せざるを得なくなるほどの抵抗を示しました。

脚注

彼の生涯は、戦国時代の激動を背景にした忠義と勇気の物語であり、米原綱寛の名は今なお多くの歴史愛好者に語り継がれています。歴史の中で彼の存在は、尼子氏の盛衰を象徴する重要なものでした。

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