尼子十旗

尼子十旗と尼子十砦の概要

尼子十旗（あまごじっき）は、日本の戦国時代における出雲国、特に尼子氏の支配区域に位置する防衛線を指します。この防衛線は、尼子氏の本城である月山富田城を中心に、10の主要な支城から構成されています。また、これらの支城と月山富田城を繋ぐために築かれた10の城砦は、尼子十砦（あまごじっさい）と呼ばれています。これにより、尼子氏の防衛体制が強化され、戦国時代の複雑な戦闘状況に対応するための重要な役割を果たしました。

尼子十旗の詳細

尼子氏は、月山富田城を拠点に家臣団を各支城に配置しました。雲陽軍実記には、「惣じて尼子旗下にて禄の第一は白鹿、第二は三沢、第三は三刀屋、第四は赤穴、第五は牛尾、第六は高瀬、第七は神西、第八は熊野、第九は真木、第十は大西なり」と記されており、尼子十旗の支城名とそれぞれの守将が明記されています。これらの城は出雲一国の防衛と支配を目的として配置され、尼子氏の戦略の一環として機能しました。

尼子十旗の城と守将

• - 白鹿城：松田氏
• - 三沢城：三沢氏
• - 三刀屋城：三刀屋氏
• - 赤穴城：赤穴氏
• - 牛尾城：牛尾氏
• - 高瀬城：米原氏
• - 神西城：神西氏
• - 熊野城：熊野氏
• - 馬木城：馬来氏（真木氏）
• - 大西城：大西氏（だいさいし）

歴史的背景

歴史的には、天文11年（1542年）における大内氏の出雲侵攻が尼子十旗にとって初の防衛戦となりました。赤穴城を守る赤穴光清は、大内に従う熊谷直続を討ち取るなど奮闘しましたが、結果的に大内軍は赤穴城の攻略に手間取り、月山富田城を包囲しました。尼子軍は士気を保ち、最終的に大内軍は敗走し、尼子氏はこの危機を乗り越えました。

その後、大内氏が滅亡すると、毛利元就が勢力を強化します。尼子晴久の急死により、尼子家臣団は混乱に陥ります。尼子義久は毛利氏との和睦（雲芸和議）を試みますが、これが逆効果となり、石見国にいる尼子の将たちは無視された形で和睦の内容を知らされ、結果として尼子の勢力が崩壊していきました。赤穴城や三沢城などは無抵抗で毛利氏に寝返ってしまいました。

月山富田城が落城した後、永禄12年（1569年）に山中幸盛たちが尼子再興を目指して出雲に攻め込みますが、元亀元年（1570年）の布部山の戦いで敗北し、最終的には全ての城が落城または開城しました。多くの尼子十旗や十砦は、月山富田城の陥落後、または尼子再興軍の討伐後に廃城とされました。また、三刀屋城のように一国一城令に基づいて廃城となったものもあります。

尼子十砦の城名

尼子十砦も重要な役割を果たしましたが、その詳細は以下の通りです。

• - 十神山城
• - 神庭横山城
• - 三笠山城
• - 赤崎山城
• - 豊岡城
• - 高尾山城
• - 高守城
• - 勝山城
• - 寺山城
• - 安田要害山城

このように、尼子十旗と十砦は戦国時代の出雲国における重要な防衛体制であり、尼子氏の歴史において大きな役割を果たしました。

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