高知大空襲

高知大空襲とその前後の空襲

大東亜戦争の終盤、1945年（昭和20年）7月4日の未明、高知県高知市はアメリカ軍による大規模な空襲を受けました。これが「高知大空襲」と呼ばれています。しかし、高知市が空襲の標的となったのはこの一度だけではありません。戦争終結が近づくにつれて、高知市は何度も上空から攻撃を受けることになります。

高知大空襲の実行

1945年7月3日午後4時23分（日本時間）、マリアナ諸島に位置する複数の基地から、姫路、高松、徳島、そして高知を目標とする合計501機のB-29爆撃機が出撃しました。これらの機体は硫黄島を経由し、それぞれの目的地へ向かいました。

翌日の午前1時52分、アメリカ陸軍航空軍第21爆撃集団第73爆撃団に所属する125機のB-29が高知市上空に到達。午前2時52分までの約1時間にわたり、市街地を標的として集中的な爆撃が行われました。投下された焼夷弾の総量は1060.8米トンに及び、これにはM69ナパーム弾748.0米トンとM76大型ナパーム弾312.8米トンが含まれていました。この空襲は主にレーダー照準によって行われ、機体は高度およそ3,100メートルから3,500メートルで飛行していました。アメリカ軍の報告によれば、この爆撃によって高知市街地の約40%が焼失したとされています。

大空襲による被害

この高知大空襲は、市に甚大な被害をもたらしました。

人的被害: 死者401名、重傷95名、軽傷194名、行方不明22名。
罹災者数: 40,737名。
建物被害: 全焼または全壊11,804戸、半焼または半壊108戸。
罹災面積: 4,186,446平方メートル。

文化財にも大きな被害が及びました。高知城の一部が損傷したほか、坂本龍馬の生家を含む江戸時代から受け継がれてきた貴重な街並みがこの空襲によって失われました。

アメリカ軍側は、この作戦でB-29を1機失い（乗員13名が行方不明）、2名が負傷しています。

高知市が受けたその他の空襲

高知大空襲は最も被害が大きいものでしたが、これ以前にも市は空襲にさらされていました。

高知市への最初の空襲は、1945年1月19日の夜に記録されています。B-29が神田地区の吉野に爆弾を投下しました。その後も、3月4日には土佐湾への投爆、3月7日未明には桟橋通りへの爆弾投下と続きました。3月19日には、グラマン戦闘機多数が侵入し、仁井田から香美郡日章村（現在の南国市）にかけての海軍航空隊基地が攻撃されています。

特に6月に入ると日本本土への空襲が激化し、高知市も例外ではありませんでした。6月1日、7日、15日、19日、22日、そして26日と、大空襲の直前までに計6回の空襲を受けました。6月22日には、高知市上空でB-29編隊のうち1機が地上の対空砲火によって撃墜されています。

6月26日の特異な空襲

大空襲のわずか1週間ほど前、1945年6月26日にも注目すべき空襲がありました。この日、アメリカ陸軍航空軍第73爆撃団所属のB-29が1機、午前9時19分に高知市常磐町（現在の二葉町）に1トン爆弾を3個投下しました。この爆撃は、本来大阪の目標を攻撃予定だった機体が、機械的な問題や飛行状況の悪化により目的地を変更して高知上空に飛来したものです。この爆撃では死者6名を含む人的被害と、多くの建物被害が発生しました。

また同日、兵庫県明石市の工場へ向かっていた別の作戦に参加していた2機のB-29も、機械故障のため高知海軍航空隊飛行場を代替目標として攻撃しています。これらの機体はそれぞれ2トン爆弾を3発ずつ、合計12米トンを投下しました。

最後の空襲

高知市が経験した最後の空襲は、高知大空襲から20日後の1945年7月24日午前に発生しました。この時も1機のB-29が飛来し、11トン爆弾3個を投下しています。

四国全体の被害

第二次世界大戦末期の無差別爆撃は高知市だけでなく、四国地方の多くの都市に及びました。徳島市の徳島大空襲をはじめ、香川県の高松市、愛媛県の松山市、宇和島市、今治市、新居浜市、八幡浜市なども、都市部を中心に甚大な被害を受けました。

これらの空襲は、多くの人々の命と財産を奪い、都市の景観を大きく変える悲劇となりました。

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