高等法院 (イングランド・ウェールズ)

高等法院（High Court of Justice）

高等法院は、イングランド・ウェールズ高等裁判所の主要な構成要素であり、重大な裁判を一審として扱う特別な裁判所です。この法院は、刑事法院や控訴院と共に法律制度の中心として機能しており、下位裁判所に対する監督権限も保持しています。

高等法院はロンドンのストランド地区にある王立裁判所に位置していますが、イングランド・ウェールズ全域には地方登記所があり、多くの手続きがこれらの所で行われます。また、高等法院の長は首席判事（Lord Chief Justice）であり、男性の裁判官はナイト、女性の裁判官はデイムとして叙せられます。

高等法院の部門

高等法院は、国王座部、大法官部、家事部の三つの部に分かれています。それぞれの部には特有の役割と責任があります。

国王座部

国王座部は、契約法や人身傷害事件、一般の不法行為を審理します。また、下位裁判所や政府機関に対する監督の役割も果たしています。この部では、法律上の上訴手続きが定められていない場合に、行政裁判所に対して司法審査を求めることができます。審理は通常、1人の裁判官が行いますが、重要な事案については合議法廷が設けられることもあります。

大法官部

大法官部はエクイティに関連する事件を扱い、商法、信託法、遺言検認法、土地法を含みます。また、知的財産権や会社法に関する専門的な裁判所も設置されています。この部は2005年の憲法改革法に基づき、新たに高等法院大法官のポジションが設けられました。具体的な判例は『大法官部ロー・レポーツ』に記録されています。

家事部

家事部は、離婚や子供の養育、遺言の検認、医療の問題を扱います。この部の判断は人の生死に直接影響を及ぼすことがあるため、しばしば社会的な論争の対象となります。家事部にて重要視されるのは、子の福祉や利益に関する事項です。この部の設立は比較的新しく、遺言検認裁判所と海事裁判所を統合する形で形成されました。

裁判官の役割

高等法院の裁判官は「国王陛下の高等法院の裁判官」と呼ばれ、窓口業務や法廷での審理を行います。彼らには高い権威と責任が問われ、社会的にはナイトまたはデイムの称号が付与されます。

巡回区

イングランドの法律制度の伝統として、裁判官は国王の代理として巡回区を巡り、全国各地の司法を均等に行う役割を果たしてきました。この伝統は今日においても影響を与え続けており、地方登記所での事件の審理も行われています。

高等法院は、イングランド・ウェールズ法制度の中で重要な役割を担い、基本的な法律を全うするための中心的存在です。

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