高見山酉之助

髙見山 酉之助 (たかみやま とりのすけ)

髙見山 酉之助は、1873年10月25日に新治県海上郡（現在の千葉県銚子市）で誕生した大相撲力士です。本名は吉岡 酉之助であり、彼は高砂部屋に所属していました。彼の最高位は関脇で、1910年1月の場所でこの地位に昇進しました。現役時代の髙見山の体格は、身長173cmで体重139kgという立派なものでした。

来歴

髙見山は1895年6月場所から本格的に相撲の世界に身を投じ、高砂部屋に入門しました。当初の四股名は加増山で、彼は若いころから相撲界で名を馳せる才能を示しました。1907年1月の場所では新入幕を果たし、33歳という年齢での昇進は珍しいものでした。その後、1910年には関脇に昇進し、相撲界での地位を確立します。

彼の相撲スタイルは、体重を活かした力強い四つ相撲が特徴でした。特に、左四つに組み止めた後、じっくりと寄りをかけて勝負を決めるスタイルは、彼の代名詞となりました。しかし、彼には「鈍州」と称されるほど、勝ち星を上げるのに時間がかかる傾向があり、速攻や技巧派の力士に苦手意識を持っていました。例えば、同時代の力士である玉椿に対しては強い苦手意識を持っており、彼と対戦する際には緊張で布団にくるまって震えるほどだったと伝えられています。

1909年6月には新たに完成した國技館で行われた場所で、髙見山は新大関太刀山に勝利を収め、7勝3分の成績を残します。この場所では、最優秀成績力士として初めて優勝額に名を刻んだ他、平幕優勝力士としても初の栄誉を得るという偉業を成し遂げました。また、この場所から導入された東西対抗の優勝制度では、彼が所属する側が優勝し、優勝旗手の栄誉も勝ち取っています。

髙見山の相撲生活は14場所に及び、関脇として1場所、小結として2場所の在位歴があります。総合成績は、43勝29敗13分55休と、勝率0.597を誇ります。彼は幕内で1回の優勝を果たし、優勝旗手としても1回の栄誉を持っています。

引退後の生活

1913年5月の場所を最後に髙見山は相撲界を引退しますが、その後は日本相撲協会には残らず、故郷に帰ることを決意しました。引退後は飲食店を営む商売に従事し、自らの人生を新たな形で築いていきました。彼の生涯は、力士としての成功と、引退後の人生の転身を象徴するものであり、今なお多くの人々の記憶に残っています。

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