高速鉄道の最高速度記録の歴史

高速鉄道速度記録の歴史

高速鉄道の速度記録は、鉄道技術の進歩を象徴するものです。19世紀末から現在に至るまで、世界中で様々な高速鉄道が開発され、その速度記録は常に更新されてきました。ここでは、鉄輪式鉄道と磁気浮上式鉄道のそれぞれの速度記録の歴史を年次順に詳しく見ていきましょう。

鉄輪式鉄道の最高速度記録

鉄輪式鉄道では、初期には蒸気機関車やディーゼル機関車が中心でしたが、次第に電気機関車や電車が主流になりました。技術の進歩とともに、速度記録は着実に向上していきました。

• - 1903年: ドイツのシーメンス＆ハルスケ社製の三相交流電車が203km/h、続いてAEG社製の電車が210.1km/hを記録し、200km/hの壁を突破しました。
• - 1930年代: ドイツのシーネンツェッペリンが230.2km/hを記録し、ガソリンエンジンとプロペラ推進というユニークな方式で高速化を実現しました。その後、ドイツ国鉄のディーゼル列車や蒸気機関車も200km/hを超える速度を記録しました。
• - 1950年代: フランスの電気機関車が速度記録を塗り替え、1955年にはCC7107号機が320.6km/h、BB9004号機が330.9km/hを達成しました。
• - 1960年代: 日本の新幹線1000形電車が256km/hを記録し、高速鉄道の時代を切り開きました。
• - 1970年代: 新幹線951形電車が286km/h、フランスのTGVが318km/hを記録するなど、各国の高速鉄道が速度を競い合いました。
• - 1980年代: TGVが380km/hを記録し、ICEも300km/hを達成しました。その後も、TGVは400km/hを超える速度を記録しました。
• - 1990年代: TGVが515.3km/hを記録し、鉄輪式鉄道の速度記録を大幅に更新しました。日本の新幹線も400系、500系がそれぞれ300km/hを超える速度を記録しました。ディーゼル機関車も270km/hを超える記録を達成しています。
• - 2000年代以降: スペインのタルゴXXLが256.38km/h、ドイツのシーメンス・ベラロが403.7km/hを記録。フランスのTGVは574.8km/hに達し、中国のCRHシリーズも480km/hを超える速度を記録しています。

磁気浮上式鉄道の最高速度記録

磁気浮上式鉄道は、車輪を使わずに磁力で浮上して走行するため、摩擦抵抗を減らすことができ、高速化が可能です。その速度記録は、鉄輪式鉄道よりも高い水準にあります。

• - 1970年代: 西ドイツのTR04が250km/h、 Comet が401.3km/hを記録しました。日本でもHSST01が307.8km/h、ML500が500km/hを超える速度を記録しました。この時代の記録は、実験的な要素が強く、ロケット推進などの特殊な技術が使われていました。
• - 1980年代: 西ドイツのTR06が392km/h、日本のMLU001が400.8km/hを記録するなど、有人での高速走行が実現されました。
• - 1990年代: 日本のMLU002Nが431km/h、MLX01が550km/hを記録し、無人での走行で高速化が進みました。有人走行でも552km/hに達しています。
• - 2000年代以降: 日本のMLX01が581km/h、L0系が603km/hを記録し、磁気浮上式鉄道の最高速度記録を更新しました。ドイツのTR-08も501km/hを記録しています。

2列車のすれ違い相対最高速度記録

2列車のすれ違い時の相対速度も記録として残っています。

• - 1989年: フランスのTGVが777km/hを記録しました。
• - 1999年: 日本のMLX01が1003km/hを記録し、その後2004年には1026km/hを記録しました。これは、それぞれの列車が高速で走行しているため、相対速度が非常に高くなるためです。

これらの記録は、鉄道技術の進歩と、世界各国の技術者たちの挑戦の歴史を物語っています。今後も、さらなる高速化、安全性の向上、環境負荷の低減を目指して、高速鉄道の研究開発は続けられるでしょう。

もう一度検索